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ディズニーランドのパワハラ告発&ブラックバイト横行、夢の国は崩壊寸前

2010年に出版された『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方』(中経出版)は、続編2作と合わせてシリーズ累計100万部を突破する大ヒットを記録している。同書は、オリエンタルランド社で従業員教育に当たっていた元社員がそのノウハウを書いたビジネス本だが、一部の読者からは「人を低賃金で使い捨てにするノウハウが詰まった悪魔の書」「従業員の洗脳教育に、新興宗教のような不気味ささえ感じる……」と、激しい拒否反応を示す声も上がっていた。その違和感は正しかったのかもしれない。2013年に「ブラック企業」というワードが流行語大賞のトップテンにノミネートされ、その問題が表面化した現在に、こんなタイトルの本を出版しようものなら世間は許さず、さらなる批判は免れなかったはずだ。
オリエンタルランド社の「ブラックバイト」ぶりは、少しずつ明るみになってきている。2015年頃には、ネット上で「バイトじゃ何年働いても昇給は雀の涙。まさにやりがい搾取」「週5で働いても収入は数万円。低賃金過ぎてこれじゃ生活できない」「バイトはすぐ逃げ出すよね」などと、ブラックなバイトの実情が次々と暴露され、議論を呼んでいた(ちなみに2018年9月時点では、「アトラクションキャスト」の時給は8:00~19:00で1,000円、19:00〜22:00で1,200円となっている)。
2014年には、ディズニーランドのショーに出演していたパフォーマーが不当な理由で雇い止め(解雇)されたとし、自発的に労働組合「オリエンタルランドユニオン」を結成。この組合はオリエンタルランド社で働く人ならば誰でも加入でき、キャストたちの労働環境や待遇の改善を目指し、現在も活動を続けているという。
こうした一連の報道を受けて、ディズニーランドに対する、一般的なキラキラしたイメージは影を帯びつつある。労働環境をめぐる生々しい内部告発は、 “夢の国”というイメージを売る商売としては、あまりに致命的だ。
2017年3月、オリエンタルランド社は、バイトを含む非正規従業員約2万人を、正規の労働組合員とすることを発表した。これまで正社員のみだった組合員数は、それまでの約2900人から2万2000人程度に増え、従業員の賃金や働き方の待遇改善を進め、人手不足に対応するという(2017年3月15日付の日本経済新聞より)。このニュースは、たしかに待遇改善へ一歩前進ともいえるが、イメージダウンに焦ったオリエンタルランド社が労働環境の改善をアピールする手段だったとも捉えられるだろう。ここ最近、ディズニーランドではサービスの質の低下が指摘されており、キャストの人手不足が要因となっているようだ。「たとえパワハラが横行していようが、ブラックな労働環境の非正規雇用だろうが、ディズニーランドで働けるならばそれだけで幸せ」という、ごく少数の奇特な労働者に頼りきりでは、もはや営業も立ち行かなくなるだろう。
オリエンタルランド社は、2022年までにディズニーシーの敷地を拡張し、映画『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ピーター・パン』をテーマにした新エリアの公開と、新ホテルの開業を発表している。しかし、オリエンタルランド社がパワハラ体質やブラックバイトへの意識を改めないことには、その実現すら危ういのではないだろうか。