千葉市   「ヨガビリー」 シニアも障害者も

千葉市    「ヨガビリー」 シニアも障害者も、体動かす喜びを

 

「ヨガ」と聞くと、美容意識の高い女性…というイメージが強いが、ヨガ+リハビリの意味を込めた「ヨガビリー」という、シニアや障害者に人気の進化形プログラムがある。足もみやアロマを複合させた民間療法だ。千葉市の無料市民講座から始まり、卒業生による同好会、障害者施設など、年齢や運動機能の程度を問わず広がっている。誰もが願う「無理なく体を動かせる喜び」は、人生100年時代の健康寿命や医療費削減にもつながりそうだ。(重松明子、写真も)

JR蘇我駅(千葉市)近くのコミュニティー施設。60~70代の11人(うち男性1人)がヨガマットに並んでいた。

講師の須之内美知子さん(42)が足裏反射区の図を配る。「全身の不調が現れる場所。ご自身でもチェックしていると思いますが、今日は私が1人ずつ、力強くもみほぐしていきますね」

これが始まりのお約束。「腎臓から尿道までの経路」を棒でグリーッと押された参加者が次々と「ギャー痛~」「そこはやめて!」と足を抱えて悶絶(もんぜつ)。爆笑が起こる。老廃物を流し、体温を上げるウオーミングアップで、一気に雰囲気がなごんだ。

ヨガはボールやゴムなども使って無理なく、リンパ節や筋肉をほぐし、骨に刺激を与える。「ふくらはぎの下にボールを置いて、両手を後ろについて、体重をかけながらゴロゴログリグリ…。第2の心臓ね」と須之内さん。「息を吸いながら膝は左、顔は右…」

4、5年続けている人が多く、柔軟性や関節可動域の広さ、シャキッとした背筋は大したものだ。

「病院でいっぱい薬もらうよりいいわよ」「サボッたら体重増えちゃったアハハ」…。豪快に笑い、おしゃべりしながら体を動かすこと2時間。最後は、須之内さんによる簡単なアロママッサージを受けてプログラムは修了だ。一緒に体験した筆者も、帰り道は体が軽く感じられた。

ヨガビリーを考案した須之内さんは、先進地のカナダなどでヨガを学び、台湾式足もみも習得した。

銀行員時代から始め、30歳目前でヨガ講師として独立。5年後、脳挫傷で寝たきりになってしまった祖母にヨガや足もみのスキルを総動員して機能回復を試みる“介護日誌”のブログが、千葉市の高齢者福祉講座担当の目にとまり平成24年、ヨガビリー講座が始まった。

無料市民講座の受講は1年限りだが、「続けたい」という生徒たちが立ち上げた同好会が現在市内に9カ所。今回取材したのもそのひとつだ。

千葉県浦安市の身体障がい者福祉センターで行われた講座にも同行した。車椅子利用など、障害者手帳を持つ5人が参加。1年前に硬膜外血腫で歩行困難になったという女性(51)は、「もうできないと思っていたことが、(ヨガビリー)を続けているうちにできるようになる。それが楽しい」。この日は、ヨガの「猫のポーズ」から片手片足を浮かせてバランスを取る形に初めて成功。達成感で明るい表情が印象的だった。

東京都品川区の品川総合福祉センターをはじめ、導入する施設が近年増えており、昨年から指導者養成講座もスタートした。

現在までに修了した20人には看護師など医療従事者が含まれており、広島、静岡、茨城などの拠点でヨガビリーの普及が始まっている。

「マスコミ取材は初めて」という須之内さんを紹介してくれたのは、千葉市在住の産経新聞の大先輩だった。

定年後の事故で頸椎(けいつい)を損傷し、下半身と右手にマヒが残るなかでヨガビリーに通い続けたという。「自分にはすごく合ってた。今はつえなしで30分も歩けるし、普通に箸も持てる。感謝しているんだ」

知らぬ間にそんなことが…。現役時代と変わらぬ元気な声。約10年ぶりに、筆者に電話をくれたのでした。