千葉市  京成電鉄

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台風24号による塩害が原因とみられるトラブルで、京成電鉄が5日朝から全線で運転を見合わせています。運転再開のめどは立っていません。

乗客:「電車の中で急に電気が消えて『降りて下さい』と言われた」
京成電鉄などによりますと、7時40分すぎ、千葉市の西登戸駅で電車に送電ができなくなるトラブルが起きました。その後も沿線の少なくとも3カ所で送電線から火が出るなどしたため、現在、全線で運転を見合わせています。再開の見通しは立っておらず、終日、運転を見合わせる可能性もあるということです。京成電鉄では送電線からの出火が相次いでいて、4日も始発から約2時間、一部区間で運転を見合わせていました。京成電鉄は、台風24号の強風で飛ばされた海水が電線に付着したことが原因の可能性があるとしています。

千葉県などの複数の鉄道で5日、送電線から火花が出るなどし、列車の運休が相次いだ。京成電鉄では朝から全線運休となり、約10時間後の夜に東京都心と成田空港を結ぶ「スカイライナー」など一部区間で運転が再開された。千葉市のJR千葉駅でも早朝、列車のパンタグラフから火花が発生し、外房線など計8路線で最大3時間40分の遅れや運休が出た。東武野田線でも電気設備から火花が出て一部区間で運休した。

台風24号の強風で吹き付けられた海水の塩分による「塩害」が原因とみられる。

京成電鉄では3日夜から4日朝にかけても塩害が原因とみられる停電で一部区間が運休。5日は午前7時45分ごろ、千葉市中央区の京成線西登戸駅に停車中の列車が送電トラブルにより異常を感知し、一部区間で停電。午前8時10分~同9時半ごろ、千葉県船橋市や東京都江戸川区にある京成線の電線でも火花が発生し、全線で運転を見合わせた。同社は6日朝の始発から通常通り運行する予定。

東京電力によると、塩害は塩水が電気を通しやすいために起こる現象。横浜国立大の西村誠介名誉教授(電子工学)は、台風の強風により海水の塩分が空気中に飛ばされ、電線を電柱に固定して支えるための絶縁体「碍子(がいし)」に付着したことが原因となった可能性を指摘する。付着後、雨や湿気で碍子がぬれて塩水となり、通電してショートしやすくなるという。台風24号で碍子など電気設備に塩分の付着が確認されたのは、静岡▽神奈川▽東京▽千葉▽茨城--の5都県に上った。

また千葉県内のJAによると、塩害による農作物の被害も確認。塩分が付着して枯れる被害はこれまでの台風でも度々起きており、今回は銚子市と旭市の計386ヘクタールで約8億7000万円の被害があった。