千葉市  自民党総裁選は、権力闘争の歴史だった

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自民党総裁選は、権力闘争の歴史だった。現職に挑み、冷遇された人も…

 

自民党の総裁選(9月20日投開票)まで、あと2日。選挙戦は最終盤を迎えている。

今回の総裁選は2012年以来、6年ぶり。現職の安倍晋三首相に対し、石破茂・元幹事長が挑む一騎打ちとなった。

事実上、日本の次期首相を決める自民党総裁選。その歴史は、権力闘争の歴史でもある。いまなお語り継がれる、過去の総裁選を紐解いてみよう。

三木武夫(左端)、福田赳夫(左から2人目)、田中角栄(右から2人目)、大平正芳(右端)
1972年 「三角大福」の4人が出馬→田中角栄氏が勝利
佐藤栄作首相の後継争いで「三角大福」と呼ばれた4人(三木武夫氏、田中角栄氏、大平正芳氏、福田赳夫氏)が対決。田中氏が勝利した。

佐藤首相からの“禅譲”を目指していた福田氏を、田中氏が抑えたかたちになった。

この総裁選をきっかけに、田中派と福田派の間で「角福戦争」と呼ばれる権力闘争がはじまった。

大平正芳氏(左)と福田赳夫首相
1978年 現職の福田赳夫首相、まさかの敗北
現職の福田赳夫首相に対抗して、大平正芳氏、河本敏夫氏、中曽根康弘氏が立候補した。

この年の総裁選から、国会議員の投票に先立ち一般党員らによる予備選が始まった。

予備選では大平氏が首位、現職の福田首相が2位に。福田首相は「民の声は天の声というが、天の声にも変な声もたまにはあるな」と述べ、本選出馬を辞退。総裁選は大平氏が勝利した。

現在のところ、立候補した現職が敗れた唯一の総裁選だ。

左から山崎拓氏、加藤紘一氏、小渕恵三氏
1999年 小渕恵三首相、加藤紘一氏らを破って再選
現職の小渕首相に対抗し、加藤紘一氏、山崎拓氏が立候補するも敗北。以後、加藤派・山崎派は反主流派として冷遇された。

小渕首相は2000年4月に脳梗塞で死去。後継には森喜朗氏が就いた。

同年11月、加藤氏は野党提出の森内閣不信任案に同調しようと「加藤の乱」を引き起こしたが失敗に終わった。

左から小泉純一郎氏、亀井静香氏、橋本龍太郎氏、麻生太郎氏
2001年 小泉純一郎氏、3度目の挑戦で初勝利
「自民党をぶっ壊す」のキャッチフレーズで、小泉氏が地方票の9割近くを獲得。3度目の挑戦で自民党総裁、首相の座を射止めた。

在任日数は1980日。2003年の総裁選でも圧勝し、5年を越える長期政権を築いた。
現職が敗れたのは、たった一度だけ。
総裁選の立候補に推薦人が必要となった1972年以降、現職に新人が挑戦したのは過去3回のみ(78年、99年、2003年)。

このうち現職で敗れたのは、78年の福田首相ただ一人。総裁選は「現職が有利」と言われる所以だ。

その一方で、99年の加藤紘一氏のように、現職に敗れた場合は失脚につながることもある。

権力闘争は過去のもの? 安倍首相「今は違う」
では、今回の総裁選はどうか。

安倍首相は、「角福戦争」のような派閥による権力闘争は、もはや過去のものとなったとアピールする。

14日午前、日本記者クラブ主催の討論会での一幕だ。

安倍首相は「今は違います。小選挙区制度になって、総裁のもとでともに戦っていく。各部会においては相当専門的な知識の上に、闊達な議論が行われていると思います」と、胸を張った。

斎藤健・農水相
石破派の閣僚、“圧力”を受けたと明かす
そんな中、石破派の斎藤健・農林水産相が14日に千葉市で開かれた会合で、こんな話を披露した。

「私はある安倍応援団の一人に言われました。『斎藤よ、内閣にいるんだろ。石破さんを応援するだったら辞表を書いてからやれ』」

現役閣僚が、総裁選をめぐって“圧力”を受けたとする、異例の発言だった。

安倍首相と石破氏
安倍首相と石破氏、農水相の発言めぐり応酬
安倍、石破の両候補は17日、テレビ朝日系「報道ステーション」で斎藤農水相の発言をめぐり応酬を繰り広げた。

安倍首相は「本当にそういう出来事があったのかどうか、陣営に聞いた。みんな『そんなことがあるはずはない』と大変怒っていました」「もしそういう人がいるのであれば、名前を言ってもらいたいですね。どういう意図で言ったのか、私も確かめたい」と、斎藤氏の発言を否定。

その上で、総裁選が始まる前に斎藤農水相から「自分は石破さんを支持します。ご了解願いたい」と言われ、「全力でやってください」と応じたと明かした。

これに対し、石破氏は「斎藤健さんという人は、作り話をするような人では絶対にない」と反論。

その上で、財務省の前事務次官によるセクハラ問題に「似ているような気がする」と発言。財務省が被害者に名乗り出るよう求めて批判を受けたことになぞらえ、安倍首相を批判した。

斎藤農水相の発言について、党としてはどう対応するのか。朝日新聞によると、二階俊博幹事長は「選挙が過熱する中での発言」と述べるにとどめ、党として調査するなど取り上げる考えはないという。

総裁選の投開票まで残り2日。政権与党の次期リーダーが決まる。