市川市
秋田は色んな空白県…松屋もサイゼも 「結果最後に」いきなり!ステーキできた 一体なぜ?各社に聞いた
秋田に赴任して1年半。コンビニはもちろん、イオンモールもドン・キホーテもあるため、東京西部のベッドタウンで生まれ育った記者でも何不自由なく生活してきました。ですが、気づいてしまいました。全国でなじみのあるチェーン店が色々ないことに。なくても問題はありませんが、なぜ秋田は「空白県」になることが多いのか、背景を探りました。
全国最後「いきなり!ステーキ」
鳥取はスタバの空白県として以前、名前を売りました。セブン・イレブンがなかった青森や沖縄も同様です。しかし、秋田は空白県としても名前が上がることがありません。
まずは、全国最後の空白県となっていたステーキ店「いきなり!ステーキ」。好きな量の肉を目の前で切ってもらい、そのまま炭火でジュージューと焼くスタイルで人気です。すでに46都道府県に進出していたことにも驚きがあります。
そんな「いきなり!ステーキ」が11月、秋田市にオープンします。県内初の出店にツイッター上は大盛り上がり。対照的に、会社にアルバイトに来た生まれも育ちも秋田という生粋の秋田っ子である大学生の女性(21)に感想を問うと、「(名前は)聞いたことあるような…。それってチェーン店ですか」との答えでした。
2013年12月に東京・銀座で1号店を開店すると、全国とアメリカ・ニューヨークで急速に店舗を増やしてきました。その数、5年で328店(9月末時点)。今年7月に青森と鳥取に出店してから、残すは秋田のみになっていました。
ニューヨークよりも遅い出店に、運営しているペッパーフードサービスの担当者は「物件などもろもろ含めて検討し、結果として最後になった」と話しました。今後も県内での出店を増やしていく予定だといいます。
コメダができました
飲み物を頼むと朝食が無料でついてくる「モーニング」文化を全国に広めた「コメダ珈琲店」の県内初出店も遅かったです。出店したのは今年2月。それまでは青森や沖縄と並ぶ空白県でした。ちなみに8月、沖縄にも出店して残すは青森のみです。
オープン当初の状況を聞いてみると、「開始時間を30分早めましたが、101席ある店内の客席はすぐに満席になりました。当時は雪が降っていたので、行列ができることはなく、車の中でみなさん待っていました」。さすがの盛況ぶりです。
次に、みそ汁が無料でついてくることで記者が牛丼チェーンの中で最も愛する「松屋」も秋田にはありません。全国に959店(9月末現在)を展開しています。なくて苦しいです。県外に行って松屋を見つけると、つい立ち寄ってしまいます。
「吉野家」「すき家」といったライバルは、秋田にもあります。松屋フーズの担当者によると、「製造拠点が関東に集中していて、物流の都合で秋田に出店していない」といいます。他にも九州などの西日本では、まだ未出店の地域も残っています。
1500店あるあの店もなし
お手頃価格のイタリアンレストラン「サイゼリヤ」も同様です。高校生の時は友人との勉強や憩いの場として、成人後は「ちょい飲み」にも使うなど、ヘビーユーザーな記者ですが秋田にないことを知って軽くショックを受けました。
1973年の千葉県市川市での創業以来、全国32都道府県に1085店と海外384店の計1469店に広がりをみせているサイゼリヤ(8月末現在)。10月26日には熊本に初めて店を出すなど、九州にも勢力を広げています。これだけあるのに秋田にはありません。理由は同じく物流の都合からかなっていません。
全国39都道府県に735店(10月16日現在)を展開する「餃子の王将」もありません。宮城を除いた東北5県にないのです。餃子の王将を運営する王将フードサービスによると、埼玉の工場から食材を毎日チルドで配送する上で、東北地方は難しいとのこと。
「新鮮な食材を使い、前日に作ったギョーザを次の日に食べて頂くというのが弊社のこだわりです」と担当者。冷凍での配送はせず、今後東北で工場を作った場合は、秋田にも出店したいと言います。ちなみにライバルの「大阪王将」はあります。
秋田発も多い!
チェーン店が少ないからといって、決して悲観しているわけではありません。昭和レトロの雰囲気が魅力の居酒屋「薄利多賣半兵ヱ」などを全国に103店(10月22日)運営するドリームリンクは秋田発祥の企業です。
東京・銀座や福岡、アジア各国で展開する稲庭うどん店「佐藤養助商店」も、秋田の名産品のPRにとって強力な後押しとなっています。当然、秋田には地元のチェーン店も数多くあります。
そして何より、秋田には個人経営のおいしいお店もたくさんあります。春は山菜にネマガリダケ、初夏はジュンサイ、秋はキノコ…。店主とやりとりをしながら、旬の食材に舌鼓を打たれてはいかがでしょうか。