船橋市
競輪の場外車券場ランキング、1人当たりの売上が多かった意外な場所とは
公営競技の一つ、競輪。戦後間もない1948年に北九州市の小倉競輪場で第1回のレースが行われた日本独自の自転車競走だが、2000年のシドニー五輪からは「KEIRIN」として正式種目に採用されている。また、国内でも2011年からは深夜帯の「ミッドナイト競輪」が、2012年から女子選手による「ガールズケイリン」が始まるなど話題は多い。東京オリンピックでもメダルの期待がかかる競技だ。
唯一、売上高100億円を超えた場外車券場
もちろん、その勝ち負けは賭けの対象となっている(競馬では「馬券」だが、競輪では「車券」と呼ばれる)。調べてみると、競輪の場外車券場で総売上額が多いのは茨城県。利用者が多いのは群馬県。また、1人当たりの売上額は九州や新潟が上位を占める――。
筆者は「競輪専用場外車券売場の車券売上状況」について、公益財団法人JKAに問い合わせた。それによると、前売専用を含む場外車券場(69箇所)の車券売上額の合計は最新の2017年データで1449億円。2016年の1520億円よりも、71億円減っている。一方、2017年の利用者数は2599万1462人で、2016年の2505万4584人よりも93万6878人増えた。
場外車券場ごとの売上で、最高は「ラ・ピスタ新橋」(東京都港区)で110億円だった。競輪とオートレースを併設していることや、やはり人口規模の高い東京都の中心部ということが影響しているのだろう。唯一、売上高100億円を超えた場外車券場だ。ちなみに、ボートレースでもっとも売上の多い場外発売場は、「ボートピア梅田」(大阪市北区)で286億円だった(詳しくは「 全国のボートレース場と場外発売場、競艇の売上ランキングを調べてみた 」を参照)。
競輪が盛んな北関東の群馬県と茨城県
次いで、「サテライト水戸」(茨城県城里町)が89億円だ。競輪のみの車券場としてはもっとも売上高がある。3位は「ケイドリームス・ドーム館林(館林場外)」(群馬県館林市)で80億円となっている。
「館林場外は1984年にオープンした老舗の車券場です。群馬県は県庁所在地の前橋市に競輪場があり、競輪が盛んな土地柄です」(競輪ファン)
4位に「サテライト大阪」(大阪市中央区)が入り、西日本ではトップだ。5位が「サテライト横浜」(横浜市中区)。6位に「サテライト宇土」(熊本県宇土市)が入り、九州ではトップの売上となっている。
また、7位に「サテライトしおさい鹿島」(茨城県鹿嶋市)が入った。茨城県として見ると、2位の「サテライト水戸」と合わせると、125億円となり、総額では「ラ・ピスタ新橋」を追い抜くことになる。茨城県は競輪が盛んということか。
競輪場も場外車券場もない「競輪空白県」は4県
利用者数でも見てみる。ただし、統計上の利用者数は、1日に1人2回、場外車券場に入ると、2人とカウントされるために、正確な数値とは言えず、あくまでも参考の数字だ。トップはやはり「ラ・ピスタ新橋」となり、333万904人だ。
次いで「ケイドリームス・ドーム館林」が2番で、利用者数204万1139人。「利根西前売サービスセンター」(群馬県前橋市)が3位で、136万288人となっている。さらに前橋市には「サテライト前橋」もある。利用者数は16位で42万9358人。群馬県としてみると、3ヶ所を合わせて383万785人となり、「ラ・ピスタ新橋」を抜く。
ちなみに、同じ北関東の栃木県には、宇都宮競輪場はあるものの場外車券場はない。
なお、競輪場も場外車券場もない「競輪空白県」は、山形県、長野県、石川県、沖縄県の4県となっている。
4番目には「サテライト水戸」が入った。9位の「サテライトしおさい鹿島」と合わせると、186万9318人となる。
5番目は「サテライト船橋」(千葉県船橋市)で、11番目の「サテライト市原」(千葉県市原市)と13位の「サテライト成田」(千葉県芝山町)、56位の「サテライト鴨川」(千葉県鴨川市)と合わせて、千葉県全体で見ると233万1153人となり、茨城県全体を超える数になる。
「競輪は小倉発祥で、もともと九州と縁が深い」
1人当たりの売上を見てみよう。筆者が売上額を利用者数で単純に割った。もっとも高かったのは「サテライト宇佐」(大分県宇佐市)で、2万6427円。ラ・ピスタ新橋と比べると、売上単価は実に8倍。次いで「サテライト宇土」の1万7864円。3位は「サテライト鴨島」(徳島県吉野川市)で1万5173円、4番目は「サテライト熊本新市街」(熊本市中央区)で1万4813円となっている。九州では、「サテライト中洲」(福岡市博多区)も8位に入っている。
「競輪は小倉発祥ということもあり、もともと九州と縁が深い。かつては、中野浩一(福岡)や井上茂徳(佐賀)といった“九州ライン”の選手がGIレースを勝ちまくって九州中を沸かせていた時期もありました。
また、熊本には『コンドル』という老舗の競輪専門紙がある。コメントが豊富に載っておりファンの評判も高い新聞ですが、最近はネット販売しているので全国で手に入れることができます」(前出・競輪ファン)
次いで目立つのが新潟勢。5番目は「サテライト妙高」(新潟県妙高市)は1万4261円、6番目も同じ新潟県で「サテライト新潟」(新潟市中央区)は1万4229円となっている。
競輪の売上はピーク時の1991年度(約1兆9500億円)から3分の1以下に落ち込み、事業から撤退する自治体も相次ぐなど苦境を迎えている。とはいえ、古くからのファンに支えられている競技であることは間違いなく、地域差を調べてみると興味深いトレンドが見えてきた。
※2018年8月31日19:50追記:
「競輪空白県」を1府5県と記しておりましたが、正しくは4県です。お詫びして修正します。