草津白根山

草津白根山の今後は? 専門家「今回レベルの噴火は起こり得る」
1/23(火) 21:41配信

午前10時ごろに噴火した草津白根山。

居住地の近くまで重大な影響を及ぼすとされる「噴火警戒レベル3」に引き上げられた。

白根山が噴火警戒レベル3になるのは、現在の警戒レベルが運用されて以降初めてのこと。気象庁は火口から2キロの範囲で噴石への警戒を呼び掛けている。

草津白根山は、今回噴火があった本白根山、逢ノ峰、白根山を中心とした山々の総称。

かつての火山活動でできたとされる世界でも有数の強酸性の湖「湯釜」などで知られる観光名所。直近では、1982年、83年に連続して草津白根山が噴火し、気象庁は活火山に選定している。

82年には湯釜付近で小規模な水蒸気爆発、83年には水蒸気爆発により、人の頭ほどの大きさの噴石が600mの範囲に飛び散り、火山灰は約60kmほど離れた渋川まで達したといわれている。1970年代には火山ガスにより死亡事故が発生した。

現在の噴火警戒レベルが2007年に運用されて以降は、2014年に火山性地震が増加したため、噴火警戒レベル2へと引き上げられた。

当時は、湯釜から1knの範囲を立ち入り禁止にする措置も取られたが、その後は火山活動が低下したとして、2017年6月にレベル1まで引き下げられた。
なぜ、今噴火した?
なぜ、今回噴火したのか。産総研火山活動研究グループの川邉禎久主任研究員に聞く。

――白根山の噴火の活動が見られ、その後噴火警戒レベルも引き下げられていた。今回噴火したのは元白根山。気象庁も前兆現象がなかったと説明しています。

実際に地震活動、火山性微動等も噴火の直前、あるいはほとんど同時にしか発生していないようです。これまでの噴火記録は白根山の湯釜ばかりでした。どうしてもそちらに意識がいってしまっていた。私たちも元白根山が噴火したということで驚いている。

――前兆のない噴火はよく起こる?

噴火の様子を見ている限りは、規模としては大きな噴火に見えない。御嶽山も同様でしたが、規模が小さい噴火の場合は前兆現象が小さくてとらえきれなかったり、噴火の直前でないと起きないこともあり、(前兆のない噴火が)起こっても不思議ではない。

――前兆が検知できないくらい小さかった?

そうです。

――噴石の危険性は?

小規模な噴火の場合は前兆もなかったりするので火口の近くにいると、近くに飛んできたにぎりこぶしほどの石が頭などに当たれば大きなけが、場合によっては亡くなる可能性もある。これが一番危険な現象で、火口の近くにいたということが大きな要因。

――今後の噴火の可能性は?

今のところ観測データを見る限りは、火山性微動や地震活動など大きなものが頻発する状況ではないように見える。今すぐ大きな噴火に至ることは考えにくいと思います。今回レベルの噴火は起こり得るので、それなりの注意が必要です。

――雪山での噴火で注意することは?

噴出物が熱を持って熱い場合は、山頂近くの雪を溶かして、融雪型の火山泥流を発生させ、それが川筋に沿って下流に流れる。草津白根山のハザードマップにも書かれているので自治体の情報提供に注意して頂ければと思います。