フランスで11週連続のデモ 収束の兆し見えず1/27(日) 18:55配信

フランスのマクロン政権に抗議する「黄色いベスト運動」によるデモが26日、パリなどで11週連続で行われた。マクロン大統領はデモを収束に向かわせるため今月から、市民や市町村長から意見を聞くなどする「国民討論会」を実施しており、デモ参加者数は直近2回と比較し減少した。ただ数万人規模のデモが常態化するようになり、収束の兆しは見えない。

 政府の燃料増税方針に端を発したデモは昨年11月に始まった。マクロン氏が最低賃金の引き上げなどの譲歩策を表明したことや、冬季休暇などの影響で減少傾向だったが、年明けから再び上昇に転じた。仏内務省によると、今月26日の参加者数は6万9000人で、直近2回の8万4000人を下回った。

 マクロン氏は3月までの予定で「国民討論会」を実施しており、国民の声に耳を傾ける姿勢を示したことが一定の評価を得たとみることができる。加えて「黄色いベスト運動」の一部の参加者は5月の欧州議会選挙に出馬する意向を示したため、運動への反発が生じて参加者数に影響した可能性もある。

 だがフランスの社会学者、モニク・パンソンシャルロさん(72)が「中産階級以下の市民は購買力が低下し、取り巻く環境は厳しさを増している。常に一定数の参加者がいることは、これ以上失う物がないと感じる人たちがいる表れだ」と分析するように、収束に向かうかは不透明だ。

 仏経済情勢研究所によると、2016年のフランスの世帯当たりの平均可処分所得は、08年と比較して年440ユーロ(約5万5000円)減少。デモ参加者の訴えはさまざまだが、生活苦から抜け出すための抜本的な対策を求める声は根強く、デモがさらに長期化する可能性はある。