懸念強まる新在留資格=官邸、今国会成立譲らず

懸念強まる新在留資格=官邸、今国会成立譲らず

外国人労働者の受け入れ拡大に向けた新在留資格創設をめぐり、与党内で懸念が強まっている。首相官邸は人手不足を解消しようと、関連法案を今国会で成立させ、来年4月からの新資格導入を目指すが、先行きは不透明だ。

―在留資格とは。

外国人が日本滞在中に働いたり、生活したりするための法的な資格だ。出入国管理法の別表で「外交」「報道」「高度専門職」などと分類されている。政府は労働力不足に悩む業界の要望を踏まえ、新たに「特定技能」という資格をつくり、外国人労働者を呼び込もうとしている。

―どんな業種が対象になるの。

政府は外食、宿泊、介護、農業、建設業など14業種を想定している。ただ、提出予定法案は「外国人により人材確保を図るべき産業上の分野」としているだけで、具体的には法務省令で決めることになった。

―「移民」とは違うの。

安倍晋三首相は「いわゆる移民政策は採らない」と否定している。ただ、「熟練した技能」を持つ場合は長期の滞在が可能で、家族を呼ぶことも認められる。与野党内で「事実上の移民政策」と指摘する声は強い。

―自民党の考えは。

人手不足に苦しむ中小企業の声を受けた賛成論と、治安や日本人雇用の悪化を懸念する保守系の綱引きが展開されている。

政府は受け入れる総数の見通しや上限を示しておらず、「労働力が余る時代になれば、日本人と仕事を奪い合う事態が発生しかねない」(自民党若手衆院議員)との懸念も漏れている。

―関連法案の見通しは。

自民党法務部会は29日の了承を目指し、政府は11月2日に閣議決定したい考え。菅義偉官房長官は「今国会成立をお願いしたい」と繰り返す。

ただ、詳しい制度設計は法案成立後の政省令に委ねられるため、自民党幹部は「国会審議で実態が見えにくくなる」と話す。同党内では「社会保障や子供の日本語教育など制度が生煮え。審議がもたない」(関係者)と不安視する声も上がっている。