千葉市   ふるさと納税見直し 「地場産品」

千葉市

ふるさと納税見直し 「地場産品」定義再考を 魅力発信できる制度に 【ちば最前線】

 

過度な返礼品が問題となっていた「ふるさと納税」に対し、総務省が打ち出した抜本的な見直しが安房地域の自治体で波紋を呼んでいる。館山市出身のタレントゆかりの商品や、鴨川市に拠点を置く病院が分院で提供する人間ドックが「地場産品以外」と指摘されたからだ。ふるさと納税の目的は「地域資源を活用し、活性化を図る」こと。「地場産品」の定義を見直し、地域のためになる制度としてもらいたい。

総務省は9月11日、過度な返礼品を規制するため、ふるさと納税制度の抜本的な見直しを表明。返礼品は地場産品に限り、調達費を寄付額の30%以下に法制化し、違反した自治体は制度から除外して、税の優遇措置を受けられなくする方針を示した。

ここで、安房地域の自治体と総務省で意見が分かれた。館山市の同市出身ロックバンド「X JAPAN」のYOSHIKIさんプロデュースのワインと同市ふるさと大使のさかなクングッズ、鴨川市の亀田総合病院のサテライトクリニックである亀田MTGクリニック(千葉市美浜区)と亀田京橋クリニック(東京都中央区)による人間ドックが地場産品に当たらないと指摘されたのだ。

館山市は週末と祝日の午後5時を知らせる防災行政無線とJR館山駅の自由通路で同バンドの名曲「Forever Love」を放送。さかなクンを交流拠点施設「“渚の駅”たてやま」の名誉駅長に任命し、施設内にさかなクンが描いたイラストを展示するギャラリーを開く。ともに地域への周遊促進に貢献した著名人として関連の品を返礼品にしていた。

鴨川市は最先端医療を提供する亀田総合病院があるまちとして、医療と福祉の充実をPR。首都圏から高齢者を呼び込み、健康で活動的な生活を送る「鴨川版CCRC構想」を掲げている。同病院が提供する人間ドックは他地域であっても、市の魅力を知らせるものとしていた。

館山市は「制度を存続させるためにはやむなし」と今月末での取りやめを発表。鴨川市は改めて総務省へ説明する方針だ。

ふるさと納税の意義として、総務省は「お世話になった地域、応援したい地域へ力になれる制度」「自治体が国民に取り組みをアピールし、自治体間の競争が進むこと」を挙げている。館山市と鴨川市の返礼品はこの意義に準ずるものではないだろうか。

「X JAPAN」や、さかなクンのファンが返礼品を機に館山市を応援したり、医療や福祉を必要とする高齢者が鴨川市を詳しく知ったりするだろう。2人のゆかりの地を“巡礼”する観光客や、最先端医療を受けるための移住者が増えることも考えられる。国が進める地方創生の一助となるのは間違いない。

過度な返礼品で地方の納税を奪い合うことは必ずしも良いことではない。ただ、地域の魅力を発信できる制度として継続するため「地域の地場産品」とは何かを再考してもらいたい。