千葉市 不登校克服、森シンガーで生計 「今は幸せ 何とかなる」
「僕も旅に出ようか 君の涙を止めるすべを探しに行こう♪」。鳥がさえずる木立に響く、語りかけるような歌声。キャンピングカーで全国の森を巡ってコンサートを開いている山田証(あかし)さん(39)=福井県福井市出身=が、ギターの弾き語りを披露する。「不登校だった中学校時代に考えた歌詞。コンサートのたびに歌っている、お気に入りの一曲」と笑顔で語る。
不登校になったのは中学2年の春。福井市内の学校に転校後、クラス内で別の男子生徒と比較され、背が低く、勉強ができるわけでもなく、スポーツも苦手だったことでいじめられた。クラスに居場所がなくなり、ひきこもった。「クラスで認められる個性がないとやっていけない。人に誇れるものがないと社会で生きていけない」と考えた。
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立ち直るきっかけは演劇だった。数カ月後、担任が心配し「文化祭の演劇に出よう」と誘ってきた。そもそも人前で話すことすら苦手で嫌だったが、「セリフが少ない『村人1』の役だったら」と参加を決意した。
稽古が始まると、魅力に気付いた。「脇役も主役も小道具係も、演劇では全ての人が必要とされる。クラスで居場所のなかった僕にとって救いだった」。授業には出ないが、放課後の稽古のために登校するようになり、仲間もでき始めた。
「役者になれば個性ができる。役者で生きていこうと決めた」。卒業まで2年間、ほとんど授業は出ないままだったが、進学した道守高で演劇部を立ち上げた。4年かけて卒業した後は東京で芝居を続け、独り立ちしようと20代半ばからシンガー・ソングライターになった。
2年前にインターネットのクラウドファンディングで、「全国の森を巡ってコンサートをするため、キャンピングカーが必要なんです」と寄付を募り、85万円を集めた。中古のキャンピングカーを買い、年間50~60回ほど森を巡ってコンサートを開いて生計を立てている。
参加者10~20人と森を散策し「森林インストラクター」として樹木や生き物を解説しながら5曲ほど披露するスタイルだ。
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キャンピングカー生活の収入は不安定で、社会的地位もなかった。この先どうなるか分からない状態で突き進んできた。今は固定ファンもでき、「自分一人で決めた道だから頑張れる。そう簡単にのたれ死にしないことは僕自身が実証した。何とかなるんです」と笑い飛ばす。
不登校の経験以降、世間からみると変わった生き方を続けてきたと、山田さんは思う。「まともに生きてきた学校の先生たちには理解してもらいにくい」が、結果的に今は幸せ。誰かのために進路を選ぶのではなく、好きなことをして生きているという自負が大事だと感じている。
不登校から立ち直り、希望を持って生きている現状について「今後はひきこもりの子を持つ親たちに話していきたい」と力を込める。「ひきこもりの本人たちには、親ら周囲に迷惑を掛けてしまっているという罪悪感、重圧がある。むしろ自分のように野放しになった方がよい」と、経験を基に語るつもりだ。
重視しているのは「かわいい子には旅をさせよ」という言葉。「自分の力で乗り切るしかない環境に身を置くことが、きっと生きる強さにつながる」。近年増えている40、50代でひきこもっている人に対しても「自分のやりたいことを仕事にし、起業してほしい。年齢的にも全然遅くないですから」と語った。
本日、千葉市花見川区こてはし台自宅より依頼を受け、お伺い、車椅子にて
千葉市中央区椿森国立医療センターに通院治療をされ戻りました。