韓国、自殺大国の汚名返上へ 「命の門番」500万人配置 社会的影響大きい芸能人の心理相談も

韓国、自殺大国の汚名返上へ 「命の門番」500万人配置 社会的影響大きい芸能人の心理相談も

韓国政府が、人口10万人当たりの自殺者数(自殺率)先進国1位の汚名を返上するための行動計画を策定した。過去5年に自殺した約7万人全員の動機などを分析し、うつ病の検診を強化。社会的影響が大きい芸能人の自殺を防ぐための個別心理相談サービスにも乗り出し、2016年の自殺率25・6人を22年までに17人まで減らす目標を掲げた。

保健福祉省によると、自治会や福祉機関、宗教機関などに「命の門番」と称する担当者を置き、自殺の兆候がある人を発見したら、対話したり、専門機関での治療を仲介したりする。22年までに全国500万人の配置を目指す。失業者や警察官、消防官など、ストレスが多く自殺者が多い傾向がある職種などに絞った自殺予防教育も強化する。

自殺を呼び掛けたり、自殺方法を紹介したりするインターネット上の情報を発信した人の処罰規定も新設。若者に影響が大きいアイドルなどの自殺を防ぐため、歌手や俳優などの練習生を対象にした個人心理相談も導入する。
「自殺の兆候を見極めるのは簡単ではない」
大統領官邸によると、韓国の16年の自殺率は先進国グループとされる経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の平均の2倍を超え、03年以降一貫して1位という。厚生労働省が発表した17年の日本の自殺率(速報)は16・7人で、減少傾向が続いている。

明知大の権一男(クォンイルナム)教授は韓国で自殺が多い背景を「子供の頃から激しくゴールが見えない競争社会に置かれる上、他人からどう見られるかを強く意識する国民性がある」と指摘。政府の行動計画について「自殺予防の担当者を置くのはいいが、自殺の兆候を見極めるのは簡単ではなく、専門的な教育が必要だろう」と話している。