千葉市
異彩放つ外観がお出迎え 世界的に珍しい「写実絵画」の殿堂 千葉市のホキ美術館
これは本当に「絵」なのか-。繊細な技術で見る者に絵画だとは感じさせない「写実絵画」専門の国内唯一の美術館が千葉市にある「ホキ美術館」だ。写実主義専門の美術館は世界的にも珍しく、一年を通して全国からはもちろん、海外からも多くの来館者が訪れるという。千葉に赴任したからにはぜひ行きたいと思っていたので、車を走らせて向かった。
◆特徴的な外観
まず目に飛び込んできたのは、平成23年度に「日本建築大賞」を受賞するなど数多くの賞を受賞している特徴的な外観だ。正面からみると縦に長く、途中に建物の一部が宙に浮いている部分もある。緑豊かな公園や郊外の閑静な住宅街の中で異彩を放っている。
この建物を目当てに、決してアクセスが良いとはいえないこの地まで、わざわざ訪れる外国人旅行者もいるという。「この建物自体も作品のひとつだと思ってほしい」と案内してくれた東京藝術大客員教授の安田茂美さんはこう話す。
ホキ美術館は医療機器メーカー「ホギメディカル」の創業者、保木将夫さん(86)が集めていた個人コレクションをもとに平成22年に開館。現在、主に日本人画家による写実絵画を中心に約450点のコレクションを所蔵、うち約140点を展示している。
特徴的な外観から中に入ると、曲線を描く壁に2種類のLEDで照らされた作品の数々が目に飛び込んできた。森本草介や野田弘志といった日本の写実絵画を牽(けん)引(いん)してきた巨匠から、三重野慶といった若手画家まで約50人の写実絵画家たちの作品群で構成されている。風景画や人物画、静物画など展示作品のテーマも多岐に渡り、展示方法についても画家自身に意見を求めるなど、作品の魅力を最大限引き出すためにこだわりが随所にみられる。
◆写実画の可能性広げる
「写実絵画の魅力は、画家の腕前と作品から浮かび上がる画家自身の感性。絵から感じる雰囲気を“生”で体感してほしい」と安田さん。ミリ以下にも及ぶ繊細なタッチや特殊な色使いから生み出される作品は個々の作家によってそれぞれ技法が異なる。作家がキャンバスに独自の感性と繊細な技術で表現した作品は、画家の哲学が込められているという。作品には写実的に描く、という点以外に共通点はなく、個々の画家の感性や哲学を来館者に感じ取ってほしいという。
「写実絵画」の可能性を広げる為の活動も行っている。「私の代表作展」として、作家に3年間の構想期間を持ってもらい、画家自身が書きたいテーマで大型作品を書き下ろしてもらう企画を行うほか、40歳以下の画家による写実主義画のコンテストである「ホキ美術館大賞」などを実施し、才能あふれる新人の発掘も行っている。安田さんは「写実絵画の新たな可能性が開く必要がある」と強調。若手の発掘や画家にとって自由な場を広げていく活動を推進しているという。「ホキ美術館から、写実絵画の裾野を広げ、作家がここに飾りたい、と思ってもらえる美術館にしたい」と意気込む。
日本の“写実絵画の殿堂”とも呼べるホキ美術館。東京都港区から訪れた吉田悦子さん(37)は「写真とも違う、作品からパワーを感じた」と話す。建物と絵が織りなす不思議な空間。足を踏み入れると、絵画の方から日々の現実とは少し離れた世界に誘ってくれた。その余韻を残しつつ、館を後にした。
本日、千葉市稲毛区稲毛東自宅より依頼を受け、お伺い、車椅子にて
千葉市美浜区ひび野ホテルニューオータニ幕張に行かれました。