千葉市
映像や音に動きや匂いのイベント続々 楽しさ広がるエンターテインメント
映画は映像を見て音声や音楽を聞くもの、ライブはアーティストの演奏を見て音楽を楽しむもの。そうした認識が今、大きく変わろうとしている。映画館にはシーンに合わせてシートが上下や左右に動き、風や光、匂いも出て観客を映画の中にいるような気にさせる装置が登場。技術を見せるイベントでは、ギタリストの演奏に合わせて腕に刺激が伝わる仕組みや、映像の展開に合わせて手にしたデバイスが左右に引っ張られる仕組みなどが展示され、エンターテインメントを五感で楽しむものに変える可能性を見せていた。
■映像に合わせて「重力」も体感
スクリーンの中で、バルキリーと呼ばれる戦闘機が空や宇宙を猛スピードで飛び回る。そんなシーンに合わせて、座っているシートが左右や上下に動いて観客に重力を感じさせる。TOHOシネマズにある、MX4Dと呼ばれる4Dシアターシステムが導入されたスクリーンで、5月11日から公開された映画「劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ」を鑑賞すると、ドッグファイトのシーンでは自分がバルキリーに乗っているような気になってくる。
「ワルキューレ」という5人組の女性音楽ユニットがライブを行うシーンでは、ストロボがさまざまな色に点滅し、シートもなめらかに動いて、自分がライブ会場にいてワルキューレのパフォーマンスを間近で観覧している気分になる。女性キャラクターがクローズアップされるシーンでは、甘い匂いが流れてキャラクターを間近に感じられる。こうした演出は、いずれもMX4Dというシステムによって作り出されている。
米メディアメーション社が開発した体感型の4DシアターシステムがMX4D。映画のシーンに合わせてシートが前後・左右・上下に動き、風、ミスト、香り、ストロボ、煙や振動といった五感を刺激する特殊効果も11種類展開できる。こうした演出はすべて、映像を再生しながらプログラマーがシーンに最適なモーションを選んで入力していく。
洋画については本国で作業が行われることが多いが、日本映画についてはMX4Dを日本向けに展開しているソニービジネスソリューション(東京都港区)が委託し、映像制作などを手がけているダイナモアミューズメント(東京都千代田区)がプログラミングを行っている。加えて「劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ」に関しては、映画を監督した河森正治氏がモーションの監修に当たった。
■パイロットの感覚に、モーションへのこだわり
ダイナモアミューズメントのモーションプログラマーによれば、攻撃を受けた戦闘機が動きを止めるシーンで、通常なら機体が前につんのめるところで一番大きな動きを付けるものを、攻撃の時点に最大の動きを付け、あとは慣性によってだんだんと止まっていくような動きにするようアドバイスを受けたという。理由は、その方がパイロットの感覚に近いから。ほかにもライブシーンでの動き、キャラクターにマッチした匂いなどに河森監督の注文が付いた。MX4Dは、映像や音響だけでなく監督自身の体感も映画作品に反映させられる仕組みと言えそうだ。
河森監督はMX4D版の公開に合わせてメッセージを寄せ、「『マクロス』シリーズは、最初の劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか~』を作った頃から臨場感、体感を意識しています。『映画を見る』というより『空間の中に入りこんで』自分がパイロットになったり、ライブ会場で歌姫のLIVEを体験していたりするような、『肌で感じる』『魂を揺さぶる』作品を目指してきました」と説明した。MX4Dという技術の登場で、ずっと思ってきた没入感を得られるアニメーション作りにさらに近づいた。
同じ「マクロス」シリーズで、2009年公開の「劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~」もMX4D版の上映が決まり、河森監督の感性が反映された映画になりそう。次に新作の「マクロス」シリーズを手がける時は、最初からMX4Dや、韓国発で同様に4Dシアターシステムを提供している4DXでの上映を意識した映像づくりを行うかもしれない。
■法要という行事をエンタメに!? 「ニコ超」で異彩放つ
4月28日と29日にドワンゴ(東京都中央区)が千葉市美浜区の幕張メッセで開催したニコニコ超会議2018というイベントにも、五感をフルに活用するような体感システムが登場していた。このイベントに「NTT超未来研究所」と銘打ったブースを毎回出展し、開発中の新技術を一般の人でも分かりやすい形にして出展しているNTTグループでは、今年も多彩な展示を行った。
「超ソウル」と銘打った「ギター!体にキタ-(゜∀゜)-!! 体感ミュージックII」という展示では、ギターの演奏に合わせて腕にビリビリとした刺激が伝わるハプティクスの技術を提案した。「超触感Sports Haptic Viewing」では、指先で装置を握りながら映像を見ていると、映像の中でマウンテンバイクが左に曲がった際に装置が左に引っ張られ、右なら右へと引っ張られるような感じが指に伝わる「ぶるなび」という技術を見せていた。
「【超裸眼立体映像・立体音像定位】そこにいるのにつまめない! めくるめく360°スクリーン」では、60個のプロジェクターとスピーカーを上部に円形に配置し、下面に映像を投射して重ね合わせることで、周囲360°のどこから見ても物体が浮かんで見え、そこから音も聞こえてくる技術を提案していた。平面から映像や音が飛び出していくこの技術が、エンターテインメントにもたらす革新に期待がかかる。
ニコニコ超会議2018の会場で異彩を放っていたのが、「超テクノ法要×向源」のブース。数年前から各地の寺社で行われているイベントをショーケース的に実施したもの。法要や読経と、テクノミュージックや照明、ビジュアル、サウンドとを組み合わせて展開することで、クラブやディスコにいるような雰囲気の中に読経が鳴り響く、不思議な空間を体験できる。ステージ前に張られた半透明のスクリーンには経文が投影され、どの部分を唱えているかが分かるようになっていた。伝統と革新のコラボレーションが法要という行事をエンターテインメントに変える。
本日、千葉市美浜区黒砂台自宅より依頼を受け、お伺い、車椅子にて
千葉市中央区椿森国立医療センターに通院治療をされ戻りました。