松戸市  “東の二子玉”こと「流山おおたかの森」は“本家”より住みやすい?

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“東の二子玉”こと「流山おおたかの森」は“本家”より住みやすい?

住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「流山おおたかの森」(千葉県・流山市)について、ライターの金子則男氏が解説する。

東京近郊には「池尻大橋」「白金高輪」「清澄白河」「落合南長崎」など、2つの地名を合わせた駅名が数多くありますが、この「流山おおたかの森」は、合成地名ではなく、「流山」と鳥の「オオタカ」を合わせたもの。計画段階では「流山新市街地」という駅名が付けられていましたが、駅周辺に森が広がっており、オオタカが生息していることから、このような駅名になりました。周辺の柏市や松戸市に比べれば存在感が薄い印象の流山市ですが、歴史は古く、新選組が本陣を置いたのも流山。水運で栄え、一時期は葛飾県庁も置かれました。
鉄道路線は東武野田線とつくばエクスプレスの2線です。もともとこの場所に駅はありませんでしたが、つくばエクスプレスの開通に伴い、交差する地点に東武野田線の新駅が完成。流山市や野田市から都心方面へのアクセスは大幅に向上しました。流山おおたかの森から北千住は最速で16分。つくばエクスプレスの運賃はやや高めですが、都心部へも楽々通勤圏内です。
道路状況ははっきり言ってあまり良くありません。千葉県東葛地域の幹線道路は国道6号線(水戸街道)と16号線ですが、いずれからも離れており、常磐自動車道の流山インターからも微妙に距離があります。市の西側を流れる江戸川に橋が1本しかないので、市全体として渋滞が多く、川を挟んだ埼玉県に行くのはかなり大変です。
マジメに比べれば意外と接戦に?
「流山おおたかの森」と言われても、多くの人は「どこ?」というのが正直なところだと思われますが、この街のキャッチコピーとしてしばしば使われるのが「東の二子玉川」というフレーズ。「ニコタマ」こと二子玉川といえば、オシャレで高級感漂う雰囲気により、都内でも屈指の人気タウン。その象徴が「玉川高島屋S・C」ですが、流山おおたかの森にも「流山おおたかの森 S・C」が存在。テナントのラインナップはかなり異なるとはいえ、“二子玉川っぽい雰囲気”は確かに味わえます。

真面目に両者を比較すると、大手町までのラッシュ時の通勤時間は、二子玉川が35分程度なのに対し、流山おおたかの森は約45分。二子玉川には多摩川の自然がありますが、流山市は「都心から一番近い森の街」を謳っており、緑の豊富さは言うことありません。流山おおたかの森からは、東武野田線で2駅乗れば“東の渋谷”と呼ばれる柏に着き、高島屋、マルイ、ビックカメラなどで買い物ができます。
そして最大の差は住宅価格。二子玉川駅から徒歩圏内でファミリー向けマンションを買い求めれば5000万円は軽く超えてきますし、一軒家ともなれば並の年収で届く額ではありません。世田谷区宇奈根や鎌田など、駅からバスに乗る物件なら5000万円前後の物件もありますが、それなら都心までの通勤時間は、流山おおたかの森の方が短くなるでしょう。一方、流山おおたかの森は、駅歩数分の新築マンションで2000万円台の物件もあり、一軒家でも3000万円台で購入可能です。
諸々の条件を照らし合わせてみれば、実は割と良い勝負? 住む街として検討してみる価値はあるかもしれません。