千葉市  首都直下型地震への備えと対策 危機管理アドバイザーが指南

千葉市   首都直下型地震への備えと対策 危機管理アドバイザーが指南

逃れられない恐怖ということだろう。地震調査委員会が26日に公表した2018年版「全国地震動予測地図」によると、首都直下地震が懸念される関東南部は真っ赤に染まった。地図は、向こう30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率の分布を示したものだ。

首都直下エリアの県庁所在地では、千葉市が85%で、横浜市が82%、水戸市が81%と続く。都庁がある新宿周辺は地盤が比較的固い台地にあるため48%だったが、隅田川より東のゼロメートル地帯や湾岸部は80%を超える。

震度6弱といえば、10日ほど前の大阪北部地震と同程度だ。大阪の悲劇で死者は5人を数え、住宅被害は8000棟に上るという。そんな強い揺れが首都を直撃したら、生活はどうなるのだろうか。

災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏に聞いた。

「最も注意したいのは、人口集中に伴うパニックです。タワーマンションや大型商業施設は非常用電源を備えていますが、消防法などで電力の備蓄量が限られていて、非常用電力が得られない恐れがあります。そうすると、数千人単位の人が地上の避難所に押し寄せることになるのです。水や食料の備蓄も配給も、圧倒的に不足します。スーパーやコンビニの商材も、すぐに売り切れです。そこに交通網のマヒが重なると、メーカーや自衛隊などが物資を届けようにも届きません。防災の教科書では、水や食料の備蓄は3日分と想定されますが、首都直下型地震に備えるなら1週間分は用意すべきです」

■水と食料より大切なのはトイレ

タワマンが林立する勝どきや豊洲では朝のラッシュ時に駅に長蛇の列ができる。神奈川の武蔵小杉はもっとひどく、駅の改札にたどり着くまでに10分待ちを余儀なくされることもあるという。そんなタワマン過密エリアは、避難所も収容能力を超える。水や食料が不足することは容易に想像がつく。

「ライフラインが寸断して一番困るのは、トイレです。3・11のときの千葉県浦安は、液状化がひどく、マンホールが飛び出して、下水道が止まり、公立学校や避難所、公園などに仮設トイレの設置が相次ぎました。人は自宅で用を足せなくなると、避難所生活を余儀なくされます。ところが、避難所生活が長期化すると、窮屈な姿勢によるエコノミークラス症候群などを発症。最悪の場合、死に至る。健康被害は無視できません。実は直下型地震で倒壊リスクが高いのは木造と旧耐震基準のマンションで、現在の耐震基準を満たす鉄筋住宅なら、倒壊リスクは低い。つまり、マンション住まいなら携帯用トイレも十分用意して、自宅で避難生活を送る方が無難なのです」

大阪北部地震では、吉野家がガスの供給停止で41店舗の休業に追い込まれている。米がガス炊きのためだ。一方、すき家は、電気調理が中心で、休業はモールの閉店に伴う1店舗のみ。首都直下地震でガスが止まると、電気調理のチェーン店以外、外食もピンチだろう。

「水や食料の配給が行われる場所はあらかじめ決まっています。配給エリアは事前に自治体のHPなどでチェックしておくことです」

もう一つは薬だ。

「生活習慣病の薬などは1週間くらいは予備を用意しておくことです」

医師の処方通りに服用すると余らないが、飲み忘れた分を集めておいたり、受診を早めたりして予備をつくるといい。

入浴対策には、ノンアルコールタイプのボディーシートがお手軽だという。