船橋市    コメ消費変化の兆し 

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コメ消費変化の兆し 「お試し需要」に小分け商品 船橋の老舗は15銘柄常備

コメの消費が、多彩な銘柄を少しずつ楽しむ方向に変わりつつある。産地が新開発したブランド米が続々とデビューしているためで、売り手は「お試し需要」をつかもうと、小袋など食べ切りサイズに注力。主力品も以前の10キロ、5キロ入りに代わって2キロ入りが幅を利かせてきた。県内の米店などでも2~3合入りの少量パックが人気を集める。品定めの機会が増え、産地間の競争は熾烈(しれつ)になりそうだ。

船橋市の老舗、鈴木米店は2013年の店舗改装と同時に、若い世代のコメ離れに歯止めをかけようと、おしゃれな包装にこだわった2合入りの少量パック販売を開始。「千葉アイガモ農法コシヒカリ」「ヒメノモチ」など県産を含む約15銘柄を常時そろえる。

同店によると、少量パックは3~12個セットで複数銘柄を組み合わせることができ、引っ越し時の近所へのあいさつや冠婚葬祭の贈答用といった用途で購入する客が多いという。店を営む鈴木房枝さんは「注文を受けてから精米するため、真空の少量パックは鮮度を保てる利点がある。健康志向の消費者が増え、玄米も人気」と話した。

◆千葉駅ビルでも

全面開業したJR千葉駅ビル本館1階にオープンした食品・雑貨店「AKOMEYA TOKYO(アコメヤトウキョウ)ペリエ千葉店」の店先にも全国14銘柄の3合パックが並ぶ。

「コメは生鮮品。夏場は2週間で使い切る量がお勧めです」。同店の銀座本店は、新顔やおいしさを求める顧客に1キロから量り売りしている。

負けじとJAグループの全農パールライス(東京)も17年産から、恋の予感(広島)などの2合パックを本格的に卸し始めた。

一方、JA全農ちば(千葉市)の担当者は「炊飯された商品や弁当、外食に消費がシフトしていることが少量化の一因。流通段階で包装コストがかさみ、消費者は割高な商品を買うことになる」と指摘する。

◆50年前の半分に

スーパーの売り場にも変化が及ぶ。都内で夫と2人で暮らす女性公務員は「毎月5キロずつ買っても外食中心で余り、置き場所に悩む」。こんな声も反映し、首都圏地盤のいなげやでは小袋や2キロ入りに押されて5キロ入りが棚に占める割合が減り「10キロ入りは置かない店舗が大半だ」という。

スーパーなどに卸す木徳神糧(東京)では2キロ以下の商品の取扱量が5年前に比べ3割ほど増加。調査会社の米穀データバンクは「少量の商品を求める傾向は続く」とみる。

半面、ブームに見えるご当地米は「高い価格帯に集中し、画一化している」(コメ卸)との不安も漏れる。16年度の1人当たりのコメ消費量は54・4キロで、50年前の半分。高値のコメが全て生き残れるとは限らない。

「小分け商品だと一度に買う量が減り、消費縮小を加速させる恐れもある」と話すのは岐阜大の荒幡克己教授。ブランド米の競争を巡り「外食用などの安い業務用米が不足しており、産地は低コストでコメを作る努力も必要だ」と指摘した。