<防衛費>来年度、過去最大に 概算要求5兆円超か
政府は、2019年度から5年間の次期中期防衛力整備計画(中期防)で、防衛関係費(米軍再編関連経費を除く)の伸び率を現行の年0.8%から1%超に拡大する方針を固めた。来年度の防衛関係費は22年ぶりに過去最大を更新する見通しだ。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」やF35ステルス戦闘機の導入費など高額な支出が見込まれており、安倍政権下で進む防衛関係費の増額が加速する。
防衛関係費(当初予算ベース)は1997年度の約4兆9412億円が過去最大だ。03年度から10年連続で減少したが、第2次安倍政権発足後の13年度から6年連続で増え、今年度は約4兆9388億円だった。
防衛省は年末の次期中期防策定に向けて、来年度以降5年間の防衛関係費の大枠について、財務省と協議を進めている。14~18年度の現中期防では、13年度の為替・物価水準で約23兆9700億円の大枠が設定され、年平均0.8%の増加が認められた。防衛省は中国の軍拡や北朝鮮の核・ミサイル開発、装備の高額化などを背景に増額幅の拡大を要求。財務省は装備品の原価の精査や維持整備の効率化などによるコストカットを求めている。
6月に閣議決定された経済財政運営の指針「骨太の方針2018」では「防衛力を大幅に強化する」と明記されており、慢性的な財政赤字を抱える中でも防衛関係費は例外的に増加が認められる方向だ。防衛省は来年度予算編成に向け8月の概算要求で5兆円超の防衛関係費を計上する方針だ。
次期中期防ではイージス・アショアだけでも2基で2000億円超とされる本体やレーダー、1発30億円超の迎撃用ミサイル「SM3ブロック2A」など高額な支出が見込まれる。1機百数十億円のF35Aも次期中期防期間中の導入が決まっている8機に加えて数十機の追加購入が検討され、F35Aより高額で短距離離陸・垂直着陸が可能なF35Bを導入する計画もある。