千葉市
店頭に並ぶのは開店時のみ!? 1個80円の「小さな薄皮あんぱん(全5種類)」
連載 ブレッドギーク池田浩明の「このパンがすごい!」
はせぱんの店頭にあんぱんが並ぶのは、開店のときだけ。なにせ飛ぶように売れてしまうのだから。1個80円。おまんじゅうのように小さな薄皮あんぱんが全5種類。和菓子屋の三男として生まれた長谷川達也店長が、実家を継いだ兄2人によって炊かれたあんこを詰め、作りあげる。
北海道・十勝の契約栽培農家から届いた小豆のおいしさがもっとも堪能できるのは、「つぶしあんぱん」だろう。ふにゃりふにゃり、歯の動きに合わせて翻弄(ほんろう)されるパン生地のいとおしさ。まるで大福さながらのもっちりしたやわらかさでありながら、バターや牛乳の風味であんこをミルキーに包みこむのは、大福にないストロングポイントだ。
「こしあんぱん」は、王道の桜の塩漬けトッピング。桜の香りと塩気があんこの風味を上品かつ狂おしくする様は、まさに日本人の美学。
さすがは千葉である。「落花生あんぱん」というものがこの世にあるなんて夢にも思わなかった。落花生から炊いたしろあん。さらに、塩豆大福よろしく、塩ゆでのピーナツも。こりこりとした食感が単調さを破り、香り立つ土っぽさが、味わいにふくらみとおもしろさを与える。
和菓子屋の血がそうさせるのか、生地も形もあんこファースト。
「バター、牛乳の入ったブリオッシュのような配合ですが、あんこの味を邪魔しないよう、卵は入れません。大きいあんぱんは嫌なんです。ひとつ食べて胸焼けしちゃうから」
はせぱんのパンから感じる、デカ盛りへの強い意思。「ラザニアフランス」は、薄焼きのパンがダムのようにミートソースをなみなみたたえ、水面には巨石のごとく、でっかいじゃがいもがごろんとのっている。「ガーリックバターフランス」に至っては、バゲット1本分の長さ。
「少々食べづらくなっても、インパクトのあるものを出したいんです」
当然、サンドも盛り盛り。「チキン竜田のとろみがけサンド」では、コンクリートを割る雑草のごとく、竜田揚げがコッペを割ってにょっきりと飛び出している。そっちがそうなら、こちらも覚悟を決めるしかない。あられもない大口で噛(か)みつけば、衣かりかり、その下の鶏肉はぐにゃりぶちぶち。一方、やわらかなるコッペパンはふにゃり。かりかりぶっちりふにゃりの三段活用には、前歯もうれしさのあまり静かな雄たけびを上げるようだった。
気前のいい盛りっぷりもさることながら、コッペパンのソフトさがおいしさの決め手。同じ生地が「上食」という名で食パンとして売られている。毎朝出会いたくなるミルキーな香り。やさしさを感じさせるふわふわもっちり、かすかなコシが噛む快感を生む。練乳の甘さはきらきら輝き、ミルクを飲むようにのどを滑り落ちる。
もうひとつ、1日10本限定の特別な食パンも存在している。名は、店名と同じく「はせぱん」という(はせぱんの画像は「写真特集へ」)。
「自分の理想とする好みを形にした食パン。焦げ目がつくまでしっかりトーストして食べてほしい。ラスクと食パンの中間ぐらい、すごくざくざくしますから」
と長谷川店長に言われた通りだった。強くトーストして食べてみたら、「早朝からすいません」というぐらいばりっばりと音を立てる。それでいて、内部は水分を含んでしっとりしたまま(普通の食パンなら干からびてしまうだろう)。「外ぱり中ふにゃ」のおいしいトースト方程式にぴたり一致している。ホシノ天然酵母プラス国産小麦を使用。というだけあって、耳は小麦の濃いところと酒種をいっしょに混ぜて熟成させたような香り。中身の後味ににじむフレーバーはお米に似て、ああ、これはお米の国の食パンだなあと思わせる。
場所は、千葉市稲毛の住宅街。以前紹介した、ブーランジュリードド、カフェクラフツマンベースもほど近い。ここにきてパンシティー稲毛の恐るべき盛り上がりっぷりである。
本日、千葉市花見川区こてはし台自宅より依頼を受け、お伺い、車椅子にて
千葉市中央区中央港千葉みなとリハビリテーション病院に
通院治療をされ戻りました。