市川市 タラノア対話で自然エネ100%社会を議論
日本気候リーダーズパートナーシップなどはこのほど、シンポジウム「再生可能エネルギー100%の社会の実現に向けて」を開いた。会場は、「自然エネルギー100%大学」を日本で始めて表明した千葉商科大学(市川市、原科幸彦学長)。シンポジウムの内容を報告する。(オルタナ総研スペシャリスト=室井 孝之)
シンポジウムは、政府(外務省、環境省)、自治体(長野県、横浜市)、企業(ユニリーバ・ジャパン、H&M、イオン、自然電力、ロクシタンジャポン、大和ハウス)、NGO(CAN、イクレイ)の協働による「タラノア対話」として実施された。
「タラノア」とは、COP23の議長国であるフィジーの言葉で「包摂的、参加型、透明な対話プロセス」を意味し、あらゆる主体が参加する。
「タラノア対話」では、「どこにいるのか」「どこへ行きたいのか」「どうやって行くのか」が確認され、パリ協定の「2℃目標」達成を目指した。
ラッセ・ブルーンCANインターナショナルエネルギー転換担当代表は、「自然エネルギーは、予想を超える速度で広まっている」と述べ、来年のCOP議長国の日本に対し、「世界の再エネ潮流の仕掛人たれ」とエールを送った。
北島敬之ユニリーバ・ジャパン代表取締役は、「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」として、10億人以上のすこやかな暮らしに貢献・製品ライフサイクルからの環境負荷を1/2・数百万人の経済発展を支援を掲げ、「イノベーションの加速が必須」と語った。
三宅香イオン執行役は、「日本の約1%の電力を消費するイオンは、今年度、店舗・商品・物流・お客さまとともにの3つの視点で温室効果ガスの排出削減に取り組む『イオン脱炭素ビジョン2050』を策定した。2030年中間目標として、店舗で排出するCO2を35%削減する」と宣言した。
磯野久美子自然電力グループコーポレートサービス統括部門責任者は、「2011年の創業時から、地域新電力(地元で作って、地元で使う)の考えに立ち、電力の地産地消を目指す『自然エネルギー事業(電力小売、屋根上太陽光発電設置)』と地域課題を解決する『生活インフラサービス事業』を展開している」と述べた。
小山勝弘大和ハウス工業環境部長は、「EP100(エネルギー効率2倍)とRE100(再エネ100%)に2018年3月に建設業で世界初でダブル加盟し、SBT(企業版2℃目標)に8月に認定された。事業では、環境、経済、災害時にメリットのあるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の建築などに取組み、自主活動と事業の両面から『脱炭素』へ挑戦する」と語った。
今、まさに、世界の関心は、どうやって温暖化対策を実施していくのかという「行動」の段階に移っている。パラダイム・シフトが起きている。日本の底力に期待する。