千葉市  9市区がパートナー証明発行

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【Japan Data】渋谷からじわり広がるLGBT理解:9市区がパートナー証明発行

電通や日本労働組合総連合会(連合)などが過去に実施した調査で、日本では約8%の人がLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)であると自認していることが明らかになった。総人口1億2600万人の8%で約1000万人。学校のクラスに1人か2人はいるかもしれないが、身近にLGBTの友人・知人がいると認識している人は少ないのではないだろうか。

同調圧力が強く、マイノリティ(少数者)にとっては生きづらい社会と言われる日本では、カミングアウトする人は限られているからだ。しかし、東京都渋谷区が同性カップルに対して「結婚に相当する関係」を認める証明書を発行する条例を2015年4月に施行したのをきっかけに、LGBTの人たちに配慮したり、権利を積極的に認める動きが自治体や企業が広まりつつある。

渋谷区が条例に基づき証明書の発行をスタートしたのが2015年11月。世田谷区でも同じタイミングで同様のサービスを開始した。これにいち早く対応したのが、携帯電話会社と生命保険業界だ。NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIは「家族割り」サービスを結婚相当の関係にある「同性婚」のカップルに拡大。第一生命や日本生命も証明書の添付などを条件に、同性のパートナーを生命保険の受取人として指定できるようにした。

従来、異性愛のカップルのみに与えられていた「家族」としての特権を、法律的には「家族」として認められていない同性愛のカップルにも開放したのだ。その後、損害保険や銀行ローンなどでも、同性カップルを夫婦とみなす商品が相次いで発売されている。

同性カップルに対して証明書を発行する自治体は札幌市、大阪市、福岡市などが加わり、2018年9月時点で9市区となった。千葉市やさいたま市も2019年に同様のサービスをスタートする見通しだ。

企業や自治体の動きを後押ししているのが、2020年開催の東京五輪・パラリンピック大会だ。国際オリンピック委員会が定めるオリンピック憲章には、2014年に「性的指向による差別の禁止」が盛り込まれた。オリンピックの会場となる施設を提供する自治体や、公式スポンサーなどは体制を整備する必要に迫られている。

例えば、2016年から同性カップルに対する結婚祝い金の支給や結婚休暇の付与をスタートしていたNTTグループは、2018年4月に制度を大幅に拡充。扶養手当や単身赴任手当の支給や、世帯向けの社宅への入居、同性カップルが養子を迎えた場合の育児休暇の付与などの制度も整備し、同性カップルを夫婦と変わらない扱いにした。グループ20万人の従業員を抱える大企業の改革は、他の企業へ波及する可能性がある。