米朝交渉、本格化の兆し=終戦宣言扱い焦点―核査察めぐり相違も
トランプ米大統領が19日、南北首脳会談の成果を「非常に良いニュース」と歓迎したことで、停滞していた非核化をめぐる米朝交渉が本格化する可能性が出てきた。
ただ、北朝鮮は、平壌共同宣言で言及した核施設廃棄に条件を付けており、米朝が折り合えるかどうかには不透明な要素も残っている。
北朝鮮が平壌宣言で、寧辺の核施設廃棄の条件として求めた「相応の措置」は、朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言を指しているとみられる。米国はこれまで、宣言の前に核施設を申告することなどを求め、対立が先鋭化した経緯がある。
これに対し、韓国外務省の李度勲平和交渉本部長は20日、北朝鮮が核施設廃棄に言及したことを念頭に「(米国の求める)非核化で進展があった」と強調。「終戦宣言(実現)の環境は非常に良くなった」と楽観的な見方を示した。
ポンペオ米国務長官も19日の声明で、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、米国と国際原子力機関(IAEA)の査察官立ち会いの下で「寧辺のすべての施設の恒久的な廃棄」を行うことを確認したと指摘。「交渉を直ちに行う用意がある」と表明した。
ただ、平壌宣言は核施設の申告や査察官の立ち会いに触れていない。米朝間で核施設をめぐる措置の解釈が異なっている恐れもあり、終戦宣言に向けて米朝の立場の隔たりが埋まってきたとは言い切れない。