船橋市 千葉・船橋の民話の舞台散策を 市民団体がマップ発行
地域の伝承を掘り起こして後世に伝えようと、千葉県船橋市の市民団体「かつしか歴史と民話の会」が散策マップ2万5千部を発行した。地元の小中学校などに配布。子供たちが地域社会に愛情を注ぐ手助けとなることを願っている。
船橋西部周辺は昔から「葛飾(かつしか)」と呼ばれてきた。台地には雑木林や畑が広がり、タヌキやキツネがたくさん生息していたという。現地には野生動物を題材にした民話が数多く残されている。
同会は平成10年に郷土史愛好家らが結成し、会員は約50人。会員は地元の古老らから民話を聞き取り、歴史の舞台を調査するなどして活動を続けてきた。
今回、葛飾公民館と西船地区町会自治会連合会の支援を得て民話の舞台や寺社、名所などをイラストと写真入りで紹介する「かつしか歴史と民話の散策」を発行した。興味深い民話や伝承が数多く収録されている。
「長六(ちょうろく)」と呼ばれたキツネは美女に化けることができたという。ある夜、印内村の若者がごちそうを詰めた重箱を持って歩いていると、若い女性が現れて小料理屋へと誘う。いい気分で一夜を明かしたが、目を覚ますと、田んぼの中。重箱は空っぽになっていたそうな。
「毘沙門堂(びしゃもんどう)伝説」は黄金にまつわる伝承だ。軍船が暴風雨に遭遇した。船は入り江にたどり着いたが、沈みそうになった。兵士らは積んでいた黄金を運び出そうとするが、武将が「身ひとつで逃げよ」と命令し、全員助かった。船が沈んだ所に村人が塚を築いたが、黄金のその後は、永遠の謎という。
伊藤邦夫会長は「会員たちが地域を歩いて歴史と伝承を記録してきた。住民や子供たちに読んでもらい、後世に伝えていきたい」と話している。
問い合わせは船橋市葛飾公民館(電)047・437・5072。