松戸市 “コンテンツ産業推進事業”を調査!

松戸市

千葉県松戸市が地元に根付く産業の発展を目指して取り組む“コンテンツ産業推進事業”を調査!

 

:ワタナベリィ渡辺

皆さんは千葉県松戸市をご存じですか? 「地名は知っているけど、どんな特徴があるかわからない」なんていう人も多いハズ。私も松戸市に引っ越すまではそう思っていました。そんな松戸市が数年前から取り組んでいるコンテンツ産業(映画、アニメ、ゲーム、音楽、書籍の制作・流通を行う産業の総称)の推進事業について、松戸市役所の方に話をうかがいました。

松戸市のおもな取り組み
ゲームコンテンツの開発・配信
地元のゲーム関連企業とスマートフォン向けゲーム『ビットゲームメーカー』や、『秋葉原まで13時間~姫はゲームを作りたいっ!~』を共同で開発し、リリースしている。

プログラミング教室の開催
2020年度からの小学校プログラミング教育必修化に先駆け、プログラミングの楽しさや可能性を感じてもらうための教室を開催。

TGSやコミケなどへの出展
東京ゲームショウやコミックマーケットへの出展、地域イベントでゲームの体験版を展示するなど、松戸のコンテンツ産業をPR。

コンテンツ産業で活気ある街づくりを

――なぜ松戸市がコンテンツ産業を応援、推進することになったのか、経緯を教えてください。

臼井 国内の各地域が、それぞれの特徴を活かした自立的で持続的な社会を創生することを目指す“まち・ひと・しごと創生法”が、2014年に国で制定されました。仕事があるから人が集まって来て、人が集まるから街ができるという、仕事(産業)の創出を重視した政策なのですが、松戸市がどの産業に力を入れていくかを検討した結果がコンテンツ産業でした。

――松戸市民の私は、松戸と言えばマツモトキヨシ、マブチモーターというイメージですが。

臼井 松戸市には日本を代表する企業がありますが、松戸市全体で見ると、特徴的な産業があるというわけではありません。また、新しい産業を誘致するにしても、松戸市の市街化率(有効利用されている面積の割合)が約72.5%と、ほぼ土地が埋まっている状況で、大きな工場や倉庫などを有する産業は誘致しにくいため、既存の土地や建物を活用した産業でなくてはならない、というのが前提としてありました。過去にはバンプレストさん、グッドスマイルカンパニーさん、ニトロプラスさんなどのコンテンツ系の企業が多く松戸市にいましたし、いまではディッジさんを始め、さまざまな企業や個人事業主が市内にいらっしゃるので、そういった産業を盛り上げていきましょう、というのが始まりです。

――松戸市には国内外のアーティストを対象に、一定期間、滞在場所と制作場所を提供し、移動と制作活動を支援する施策もありますよね。

臼井 ええ。“PARADISE AIR(パラダイスエア)”という施策もやっていて、つぎのステップとしてコンテンツ産業にいこうという流れですね。

――そして、2016年3月に“松戸コンテンツ事業者連絡協議会”が設立されたと。

臼井 コンテンツ産業振興事業の一環として、またその実施の中心となる団体として、市内のコンテンツ事業者を中心に、松戸コンテンツ事業者連絡協議会を設立しました。いままでは松戸市役所の文化観光国際課が事務局を担っていましたが、今年度からディッジさんに委託し、本年度中に法人化も決定しています。

――松戸コンテンツ事業者連絡協議会としての具体的な取り組みについて教えてください。

臼井 認知拡大、関心喚起、行動促進の3つのステップを考えていまして、まず松戸市の取り組みを知っていただくために、スマホアプリの配信を始め、東京ゲームショウやコミックマーケットへの出展、地域イベントの参加など、目立つ施策を行って地域内外の認知度を上げて、事業者さんに松戸市を選んでもらおうと。

――ゲームショウやコミックマーケットで、ゲームアプリ『ビットゲームメーカー』と『秋葉原まで13時間~姫はゲームを作りたいっ!』を出展されていましたが、開発の経緯を教えてください。

臼井 ゲームには音楽、グラフィック、シナリオ、プログラミングなど、コンテンツ産業の要素がすべて入っていますし、市内にゲーム開発の心得があるディッジさん、キッチンガイズファクトリーさんがいたこともあり、認知拡大の取っ掛かりとして最適だったんです。ただ、あくまでもクリエイター支援が目的ですので、どちらのゲームも創作活動に興味を持つきっかけになるものにしよう、というコンセプトがありました。

――各作品の反響はいかがでしたか?

臼井 ゲームショウやコミックマーケットへ出展したこともあり、たくさんの反響をいただきました。とくに『ビットゲームメーカー』は、バージョンアップするたびに反応がありますね。すでに1000作品以上投稿いただいていて、年内にコンテストを実施する予定です(※)。
※2018年11月1日よりコンテントのエントリーがスタートしています。

――松戸コンテンツ事業者連絡協議会は今後、どのような活動をされていくのでしょうか。

臼井 地域の企業とコンテンツ事業者さんが共同で事業を開拓するための施策や、事業者さんが困っていることを相談できる場などを提供するための準備を進めています。松戸に住んでいる事業者さんの多くが、都内での仕事がメインで、松戸市内での仕事があまりないため、松戸市内の仕事を発注できるよう、松戸市観光協会からイベントなどのWeb制作を請け負うなど、徐々に開拓している状態ですね。市内にあるお店がチラシを作りたいといったときに、デザインを松戸コンテンツ事業者連絡協議会で受ける、といった展開にしていきたいと考えています。