千葉市 幕張メッセ
千葉市美浜区中瀬2-1
主役は最新e-BIKE 自転車の祭典「サイクルモード」
日本最大級のスポーツ自転車の展示会「サイクルモード・インターナショナル2018」が2018年11月9~11日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された。1000台以上もの最新スポーツ自転車が一堂に展示されるイベントだ。車両以外にもパーツやアクセサリー、ウエアなど関連製品も数多く展示され、スポーツサイクルを取り巻く現在やこれからのトレンドを知ることができる。今回は会場でとくに気になった製品をピックアップして紹介しよう。
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パナソニックサイクルテックの参考出品車。前後にサスペンションを備えるフルサスタイプのe-MTBである。
■パナソニックが本格e-MTBを参考出品
電動アシスト付きスポーツサイクル、「e-BIKE」はいまもっとも注目を集めているカテゴリーである。今年のサイクルモードではe-BIKEのための特設エリアが設けられ、最新モデルの展示や試乗が行われていた。
写真はパナソニックサイクルテックのブースで参考出品車として展示された一台。フロントだけではなく、リアにもサスペンションを備えるマウンテンバイクタイプのe-BIKE (e-MTB)である。すでに市販されている「XM2」と同じドライブユニットをアルミフレームに搭載しており、サスペンションのストローク量は前後とも160mm。タイヤサイズは27.5×2.8とかなり太めのものが採用されている。パナソニックはすでにXM1、XM2という2台のe-MTBをラインナップしているが、それらよりさらにオフロードライドを本格的に楽しめるモデルである。
担当者の話では市販を前提としており、かなり高額(50万円以上)になるとのこと。これまで国内販売されるe-BIKEはおおむね20万~35万円のモデルが中心だったが、来年以降はハイエンドユーザーをターゲットにした新たなフェーズへと突入しそうだ。
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BESVはロードバイクタイプのe-BIKE「JR1 PRO」を展示。すでに市販されている「JR1」の上級グレードにあたるモデルだ
■スマートなロードバイクタイプのe-BIKE
台湾のe-BIKE専門ブランド「BESV(ベスビー)」はロードバイクタイプのe-BIKE「JR1 PRO」を出展した。モーターをリアハブ(後輪中心部)に搭載し、バッテリーもフレーム(ダウンチューブ)に内蔵されているため、一見すると普通のロードバイクのようなスマートなルックスとなっている。
e-BIKEはシマノやボッシュなどの部品メーカーがドライブユニットの設計・製造を行い、それを自転車メーカー(ブランド)が設計した車体に組み合わせて完成するのが一般的である。したがってドライブユニットは様々な車両に搭載することを想定した最大公約数的な設計にせざるを得ないが、BESVは車両とドライブユニット両方の設計を自社で行っているため、このような一体感のあるデザインが可能だという。
変速機やブレーキなどのコンポーネントはシマノの上級グレード「アルテグラ」を採用する。大容量バッテリーを搭載し、一充電あたりの航続距離は約138km。車両重量は14.9キロとe-BIKEとしてはかなり軽量だ。発売は未定。
BESVは本格的なオフロード走行が楽しめるフルサスe-MTBも出展。こちらはクランク部にモーターを配置するシマノのドライブユニット「STEPS E8080」を搭載する。19年夏発売予定とのこと。
■キット販売の「マインドバイク」
こちらの一風変わった自転車は「マインドバイク」と名付けられたモデル。アルミ押出材をボルトで結合しただけのシンプルなフレームに必要最小限のパーツを組み合わせることで、ユーザーの手で簡単に分解・組み立てができるという斬新なもの。
販売方法も独特で、イケアの家具のように箱に入ったキットで販売されるという。フレームの側面にはカゴやキャリアといった様々なオプションを取り付けるための穴が開けてあり、フレームサイズの調整も可能だ。またフレームの一部(フォーク部分)だけを使って、子ども用自転車やキックバイクにコンバージョンすることもできる。価格は18万円(税別)。
ヨネックスのエアロロードバイク「AEROFLIGHT」。同社が販売している一般的な形状のロードバイク「CARBONEX」と比べ、空気抵抗を約20%以上も低減させたという
■ヨネックスは「エアロロード」に注力
ロードバイクの世界では、ここ数年「エアロロード」というカテゴリーが一大潮流となっている。エアロロードとは、フレームの形状やパーツの配置を工夫することで空気抵抗を減らしたロードバイクのことだ。
当初はその効果を疑問視する向きもあったものの、現在はその優位性が明白となり、多数のメーカーがラインアップに加えている。写真はヨネックスが19年1月から発売を開始するエアロロードバイク「AEROFLIGHT(エアロフライト)」。
ヨネックスはバドミントンやテニスのラケットのトップメーカーとして知られているが、その優れたカーボン加工技術を生かし、14年からロードバイクの生産も行っている。風洞実験によって作り上げたエアロ形状が高い空力性能を発揮する一方、フレームに同社のラケットやゴルフシャフトでも使用しているカーボン素材「Namd」を採用して重量を抑えたという。フレームの単体重量はわずか830gと、エアロロードバイクとしては驚異的な軽さを実現している。国内の自社工場で生産され、価格はフレームセットで70万円(税別)とかなりの高額。
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独創的な折り畳み機構とベルトドライブが特徴のストライダ。操縦にはクセがあるが、持ち運びやすく、旅先でのちょっとした移動で使うには便利な自転車だ
■折り畳み機構とベルトドライブが特徴のストライダ
ストライダは独創的な折り畳み機構とベルトドライブが特徴の英国生まれの自転車。サイクルモードでは米クレイ・プレシジョンが開発した迷彩パターン「MUTICAM(マルチカム)」とコラボレーションした19年モデルが出展されていた。
ブロックパターンのタイヤを採用してワイルド感を強調するなど、近年流行のSUV(多目的スポーツ車)との親和性も高そうな1台。価格は12万6000円(税別)。
■無線による同期で操作や残量表示が便利になったライト
自転車用ライトやサイクルメーターなどで大きなシェアを誇るキャットアイの新製品がこちらの「SYNC(シンク)」シリーズ。ライト同士を無線(Bluetooth)によってオンオフを同期させた。従来はライトごとにスイッチを入れる必要があったが、新製品では一つのライト(例えばヘッドライト)のスイッチを入れれば、すべてのライトが点灯する。消すときも同様で、トンネルなどを走行する際には重宝しそうだ。
ヘッドライトのインジケーターで同期中のライトのバッテリー残量を把握することができるほか、専用アプリをインストールすることで、点灯モードの設定などもスマートフォン上で行えるようになる。価格はヘッドライトの「シンク コア」が9000円(税別)。発売は19年の春を予定している。
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ワフーの「KICKR(キッカー)」
■進化するサイクルトレーナー
ここ数年で目覚ましく進化しているものの一つがサイクルトレーナーだ。走行データを高度に解析できるスマートトレーナーの登場により、仮想空間上でサイクリングが楽しめるようになった。3DCG(3次元コンピューターグラフィックス)によるリアルな画面と連動してサイクルトレーナーの負荷が変化し、本当に走っているような走行感が屋内にいながら味わえる。
その最新モデルが米国のフィットネス機器メーカー、ワフーの「KICKR(キッカー)」だ。別売りの機器「KICKR CLIMB(キッカー・クライム)」と組み合わせれば、バイクの上下角度を変化させて登り坂や下り坂の走行状態をリアルに再現できる。また、スピードやライダーの心拍数などに応じて風量が変化するスマートファン「KICKR Headwind(キッカー・ヘッドウインド)」も用意されている。