急騰するウォン、1050ウォン台まで脅かす…韓国企業「円安がもっと心配」
2018年初めての外国為替市場取引日である2日、ウォン相場が1ドル=1060ウォン台にまでウォン高が進むと外国為替ディーラーの間からは「ブレーキがない」という言葉があふれた。昨年最後の取引日となった12月28日に1070.50ウォンでかろうじて1070ウォン台となったウォン相場はこの日取引開始と同時にウォン高が急に進んだ。昨年の輸出が過去最大を記録したという知らせと北朝鮮の地政学的リスク緩和の兆しまでかみ合わさってドルの下落幅が大きくなった。
急速に進むウォン高に企業はやきもきしている。最低賃金引き上げ、国際原材料価格上昇など各種コスト増加要因が多い中でウォン高まで加勢すれば経営業績が急速に悪化しかねないためだ。特に円など主要競争国の通貨に比べても切り上げ速度が急だという点で輸出企業らの悩みが大きくなっている。
◇過去1年間のウォン切り下げ率13%に
この日の韓国銀行によると昨年の対ドルのウォン切り上げ率は12.8%に達した。2004年の15.2%以降13年来の高水準だ。ドルだけでない。ウォンは昨年人民元に対しては6.1%切り上げられ、対円では9.1%切り上げられた。
ウォン高円安の傾向は特に急だ。この日の相場は7.42ウォンの円安となる100円=941.82ウォンで取り引きを終えた。2年来の円安水準だ。韓国をはじめ先進各国が「緊縮」に転じているのと違い日本だけ量的緩和を続けていることにともなう円安の影響が大きい。日本企業と競争している自動車、鉄鋼、機械、家電業種などには悪材料だ。輸出企業が最近ドル安よりも円安のスピードを懸念している理由でもある。
◇「当分ドル安傾向は衰えない」
専門家らは上半期までドル相場がドル高に転じるのは厳しいとみている。トランプ米大統領のドル安誘導にユーロ圏の景気改善に力づけられたユーロ高の流れのためだ。米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げも市場の予想より遅いスピードで進む可能性が大きくドル高要因になるのは難しいだろうという分析が支配的だ。
市場専門家らは内外のさまざまな要因を総合してみるとウォン安要因は容易には見つからないと口をそろえる。韓国の主要証券会社と外資系投資銀行は韓国経済のファンダメンタルズ改善などを考慮するとウォン高傾向は当分続き、上半期には1ドル=1050ウォン水準までウォン高ドル安が進むと予想した。
政府の市場介入が変数だがこれすらも容易ではない。金東ヨン(キム・ドンヨン)副首相兼企画財政部長官はこの日「急激な変動に対しては政府が対処すべきだが、ひとまず全体的には市場に任せる」と話した。政府の市場介入の意志が過去より弱まったというのがおおよその評価だ。米国の為替相場操作国指定の可能性の懸念が依然としてあるためだ。
◇企業「経営環境の視界ゼロ」
輸出企業は連日気をもんでいる。世界市場で競争する自動車、造船、石油化学、鉄鋼、バッテリー関連企業が特にそうだ。業界関係者は「ウォン高ドル安傾向が続く中で円まで急落傾向を見せており韓国の輸出企業は『二重苦』に陥っている。依然として日本の主力品目が全般的に商品性や技術力で先行しているのに円安で価格競争力まで加われば韓国企業は少なくない打撃を受けるほかない」と懸念する。
現代経済研究院によるとウォン高円安が10%進めば石油化学輸出は13.8%の打撃を受け、鉄鋼が11.4%、機械が7.9%、自動車が7.6%、家電が6.9%、情報技術が6.9%など主力製品の輸出も大きく減少すると調査された。
対外経済政策研究院のチョン・ヨンシク研究委員は「ドルが上昇に転じてもウォンが円に対しては相対的な強さを持続しかねず、日本と輸出競争を行う業種の競争力が低下しかねない。中国企業との技術的差別化がわずかな企業も悪影響を受ける恐れがある」と話した。