ディズニーとUSJ、駅利用者数が多いのは

ディズニーとUSJ、駅利用者数が多いのは?
人気レジャー施設最寄り駅を独自ランキング

夏休みには、家族そろってテーマパークなどのレジャー施設に出かけた人も多いだろう。その入場者数ランキング(「レジャーランド&レクパーク総覧2017」綜合ユニコム、2016年)では、ディズニーリゾートが断トツの第1位となっている。
この資料に記載された施設のうち、筆者が独自に鉄道でのアクセスが可能なものの順位を付けてみると、以下、2位:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、3位:東京ドームシティ、4位:東京スカイツリー、5位:上野動物園、6位:ハウステンボス、7位:名古屋市東山動植物園、8位:国営海の中道海浜公園、9位:よみうりランド、10位:サンリオピューロランド……となった。
では、各施設の最寄り駅の利用者数ランキングはどうか? 調査してみると、都心にあったり、通勤通学客の多い駅だったりと立地条件に左右され、入場者数ランキングとはかなり様相が異なってくる。今回は、こうしたレジャー施設の最寄り駅ランキングベスト10を取り上げてみたい。
動物園に博物館に美術館に…
1位 JR上野駅 (上野動物園など)
<東北新幹線ほか>18万2693人(2016年度1日平均乗車人員)

この連載の過去記事はこちら
かつての終着駅上野駅は、新幹線ターミナル駅としての機能はとうの昔に東京駅に譲り渡し、在来線も上野東京ライン開業後は凋落の一途をたどり、JR東日本の駅別乗車人員ランキングでも13位と低迷している。
しかし、レジャー施設の最寄り駅としては、2位以下を大きく引き離しての第1位である。入場者数ランキング5位の上野動物園のみならず、国立博物館、西洋美術館、東京都美術館、上野の森美術館、それに東京文化会館など枚挙にいとまがない程のレジャー、文化施設が駅近くに点在しているからであろう。もちろん、ターミナル駅としての機能低下とはいえ、JRから地下鉄各線への乗り換え客、アメ横などへの買い物客も利用するであろうから、乗降客数が多いのは当然と言えば当然かもしれない。

2位 舞浜駅 (ディズニーリゾート)
<JR東日本京葉線>7万8277人(2016年度1日平均乗車人員)
単独のレジャー施設の最寄り駅としては、実質上の1位であろう。もちろんディズニーリゾートの玄関駅として一年を通して活況を呈している。駅前がディズニーリゾートの入口であるから、東京駅からの直通のみならず、地下鉄利用、新木場乗り換えでやってくる人も多数いる。夕方から夜にかけての京葉線車内では、ディズニー関連の土産物袋を抱えた人を多数見かけるのも鉄道利用者が多い証であろう。
オープン5年、一躍人気施設に
3位 とうきょうスカイツリー駅 (東京スカイツリー)
<東武伊勢崎線>11万1477人(2015年度1日平均乗降人員)

スカイツリー開業とともに改称されたとうきょうスカイツリー駅の入口(筆者撮影)
旧業平橋駅を改称し、とうきょうスカイツリー駅として、すっかり定着。特急も停車し、この駅から浅草駅までの利用に限って特急券なしで特急に乗れるなど便宜を図っている。東京スカイツリーのみならず、商業施設の東京スカイツリータウン来訪者も多数利用していると思われる。地下鉄の押上駅を利用する人員もカウントすれば、数字はさらにあがると推測される。

4位 後楽園駅 (東京ドームシティ)
<東京メトロ丸ノ内線・南北線>10万2815人(2016年度1日平均乗降人員)

後楽園駅を発車する丸ノ内線の電車(筆者撮影)
東京ドームシティの最寄り駅。丸ノ内線の駅は地下鉄にもかかわらず地上2階にある高架駅だ。東京ドームシティの利用者はJR水道橋駅利用も便利なので、両駅を合わせれば、とうきょうスカイツリー駅を上回る。

5位 京王多摩センター駅 (サンリオピューロランド)
<京王相模原線>8万7551人(2016年度1日平均乗降人員)

サンリオキャラクターのハローキティが描かれた京王多摩センター駅の駅名標(筆者撮影)
サンリオピューロランドの最寄り駅。多摩ニュータウンの中心駅であるから、レジャー施設の最寄り駅というよりは、通勤通学客の利用が多数かとは思うけれど、駅名標に、サンリオのキャラクターであるハローキティのイラストを入れたり、駅構内のあちこちにサンリオキャラクターを配置したりと、ピューロランドの玄関駅としてのアピールを強めている。
施設名がそのまま駅名に
6位 ユニバーサルシティ駅 (ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)
<JR西日本桜島線(JRゆめ咲線)>2万6105人(2014年度1日平均乗車人員)
そのものずばりユニバーサル・スタジオ・ジャパンの最寄り駅で、テーマパーク開業に合わせて2001年3月に新設された。駅は安藤忠雄氏の設計による帆船をイメージしたデザインで、第2回近畿の駅百選にも選ばれている。近年は、ホテルやマンションが建ち並び、テーマパーク来訪者以外の駅利用も増えつつある。
7位 東武動物公園駅 (東武動物公園)
<東武伊勢崎線・日光線>3万2160人(2015年度1日平均乗降人員)

電車の行先としてもおなじみの東武動物公園(写真:tarousite / PIXTA)
かつては杉戸駅といい、東武伊勢崎線と日光線の分岐駅で、東武鉄道の重要な駅であった。1981年の東武動物公園開園に伴い現在の駅名に改称している。動物園のみならず遊園地としてのアトラクションも多数あり、家族連れからカップルまで幅広い層に人気を博している。駅西口から動物公園までは徒歩でも10分。ほどほどの距離である。駅の所在地は南埼玉郡宮代町で、市ではない郡部にある駅としては関東で一番乗降客の多い駅となっている。

8位 葛西臨海公園駅 (葛西臨海水族園)
<JR東日本京葉線>1万3356人(2016年度1日平均乗車人員)

葛西臨海水族園の最寄り駅である葛西臨海公園駅(筆者撮影)
JR京葉線で東京駅から乗車すると、舞浜駅の一つ手前にある駅だ。舞浜駅に比べると乗降客数はかなり引き離されているけれど、臨海公園の中にある葛西臨海水族園は、東日本では最も人気のある水族館のひとつである。数年前にはペンギンの脱走事件があり、話題となったこともあった。手ごろなレジャー施設であり、駅前というアクセスの良さからも電車利用が一般的なスポットだ。
9位 東山公園駅 (東山動植物園)
<名古屋市地下鉄東山線>8138人(2015年度1日平均乗車人員)
*年間乗車人員から算出
東山動植物園は、名古屋市内有数のレジャー施設として戦前から存在している。かつては路面電車が通じ、1963年に地下鉄が東山公園駅まで延長開業してからは、東山公園の最寄り駅として重要な役割を果たしている。動植物園のほか、周囲は住宅街なので、栄や名古屋駅方面へ向かう通勤客の利用も多い。なお、かつては東山公園内に蒸気機関車C62形の静態保存された姿を見ることができたが、現在は、リニア・鉄道館に移設展示されている。
どちらかといえば住宅地…?
10位 森林公園駅 (森林公園)
<東武東上線>1万4416人(2015年度1日平均乗降人員)

森林公園駅にある来駅記念ボード(筆者撮影)
広大な車両基地が隣接しているため森林公園駅行きの電車がかなりあり、都心のみならず直通先の東急東横線沿線でも知られた駅名である。ただし、森林公園(正式には国営武蔵丘陵森林公園)は、駅とはかなり離れていて、徒歩では40分、バス利用が一般的ではあるが平日は本数も少なく不便である。
森林公園とは反対側の南口には住宅街が開け、東上線利用で都心へ向かう通勤客の利用が多い。
冒頭に挙げた鉄道アクセス可能なレジャー施設の10位までには、ハウステンボスと海の中道海浜公園がランクインしているが、駅の利用者数では、ベスト10には遠く及ばなかった。ハウステンボス駅は博多から直通の特急列車が1日8往復しているにもかかわらず、テーマパークの入場者数のごく一部にしかすぎず、大半は観光バスやマイカーの利用となるのだろう。海ノ中道海浜公園もJR香椎線の海の中道駅が至近距離にあるにもかかわらず、利用者数は多くない。首都圏をはじめとする三大都市圏の利用者数に比べるとその差は歴然としていて、ランクインしないのはやむを得ないようである。