国連軍、在日米軍基地の使用急増=昨年27回、対北朝鮮警戒―戦争終結で協定消滅
朝鮮戦争で創設された国連軍が2017年の1年間に、日本側に在日米軍基地の使用を事前通知した回数は艦船と航空機を合わせて計27回に上り、前年(15回)の2倍近くに急増していたことが1日、日米政府筋への取材で分かった。
昨年緊迫した北朝鮮情勢を反映したものとみられる。外部の目に触れにくい国連軍の動向の一端が浮かび上がった形だ。
トランプ米大統領は朝鮮戦争終結に期待を寄せる発言もしており、将来的には国連軍の扱いも焦点の一つになる。撤退すれば日本が戦時に後方支援拠点になる国連軍地位協定は消滅するが、非核化実現のために北朝鮮に圧力をかける英国、オーストラリアなど米以外の国が警戒監視活動のため在日米軍基地を使用する権利も失われる。北東アジアの安全保障に影響する可能性もある。
日本と国連軍地位協定を締結した英豪など11カ国は、横須賀(神奈川県)、佐世保(長崎県)、嘉手納(沖縄県)など7カ所の在日米軍基地を使用できる。横田基地(東京都福生市など)には国連軍後方司令部が置かれ、豪軍出身の司令官を含め4人が常駐する。
後方司令部が日本政府に在日米軍基地の使用を事前通知した件数は、13年~16年は航空機を中心に12~15回だったが、17年は27回(艦船14回、航空機13回)と大幅に増えた。16年に1回だった艦船が急増したのが特徴で、豪州の潜水艦やフランスの情報収集艦も寄港したという。横須賀基地を拠点にする米海軍第7艦隊と連携する必要性が増したのが要因とみられる。
国連軍地位協定は、北朝鮮による国連安全保障理事会の制裁逃れで「瀬取り」と呼ばれる洋上の密輸の監視にも活用されている。豪州とカナダは今年4月、嘉手納基地に哨戒機を派遣し、5月には英フリゲート艦も参加。海上自衛隊と連携して行われた。