船橋市「家賃補助があるのに、家を買うのは損?」

船橋市    30代家族「家賃補助があるのに、家を買うのは損?」

 

22万組以上の住宅選びの相談に応えてきたスーモカウンターが、住まいの悩みに答えるシリーズ。今回は、住宅・不動産総合サービス「SUUMO」の田辺貴久・副編集長がお答えします。

——–
千葉県船橋市に住む32歳の専業主婦です。夫と子供2人との4人で賃貸マンションに住んでいます。家賃は12万円なのですが、夫の会社から家賃補助が4万円出ているので、3LDKに8万円で暮らせています。

ただ、会社から指定された物件なので建物も設備も古く、日当たりもあまり良くないので、私は引っ越したくて……。しかし夫は「転勤があるかもしれないし、家賃補助があるうちは、多少は我慢しても今の賃貸に住んでいるほうが得じゃないか」と言って、まともに考えてくれません。やっぱり、家賃補助のあるうちは、賃貸のほうがいいのでしょうか。

【相談者プロフィール】
・本人:32歳(専業主婦)
・家族:夫34歳(会社員)、長女3歳、次女1歳
・現在の住居:賃貸マンション(家賃12万円、家賃補助4万円)
——–

田辺:ご相談ありがとうございます。今回は住宅購入のタイミングと転勤がある場合の住まいについて考えてみましょう。
家賃補助に頼りきるのは要注意
家賃補助があれば、住居費を抑えて暮らせるメリットがありますよね。ですが、頼りすぎは要注意です。

購入を考える前に、「生活費はどのくらい家賃補助に頼っているか」を、まずは見直してみましょう。というのも、家賃補助は多くの場合、支給される期間や年齢の条件があります。

いつかは補助がなくなる前提で、たとえば補助で支給されている分を貯蓄に回せていれば問題ありません。ですが、家賃補助を生活費にも当ててしまっている場合、家賃補助がなくなったときに、住居費を抑えたり、生活費を抑える必要が出てきます。

最近では家賃補助の制度が改変されて、思わぬタイミングで減額されたり、期間が短くなるケースもあるようです。逆に、家賃補助をもらっていない前提で生活が組めていれば、いつ住宅購入をしても生活への影響はそれほどないはずです。家賃補助がなくなっても家賃支払や返済ができる額を、将来的な住居費の1つの目安に考えてください。

家賃補助のメリットは総支出で判断
そのうえで、家賃補助のメリットをどうとらえるか、ですが、逆に将来的に住宅購入をすることを考えるのであれば、今買った場合と数年後(たとえば3年後)に買った場合で、総支出がどれだけ変わるかで判断することをオススメします。

今回の相談者は家賃補助が4万円支給されているとのことですが、自己負担の支出は毎月8万円です。単純に8万円の家賃を3年間支払った場合、8万円×12ヵ月×3年でなんと288万円!たとえば3年後に今と同じ価格の住まいを買うならば、この288万円が余分な出費となります。

確かに4万円の家賃補助がなければ、この出費は12万円×12ヵ月×3年で432万円となるので、家賃補助があることで144万円分トクしているとはいえますが、いずれにしても支出であることに変わりはありません。
消費増税前の実質的ラストチャンス
さらに、2018年ならではの注目ポイントは消費税の増税。消費税は2019年10月から10%への税率アップが予定されています。住宅への影響は、引き渡しが来年10月を過ぎる場合、消費税10%が適用されます。

まだ先のこと……と思っても、もうあと1年。新築マンションの場合は、契約から引き渡しまで2年ほどかかる場合もありますし、注文住宅も土地契約から竣工・引き渡しまでは1年ほどかかることが多いので、実はタイミング的には待ったなしなのです。

この消費増税ですが、2019年3月末までに契約した場合は引き渡しが2019年10月を過ぎても消費税8%が適用される「経過措置」があります。

たとえば建物価格3,000万円の住宅を購入する場合、消費税8%だと3,240万円ですが、10%だと3,300万円。タイミングひとつで60万円差になることを考えると、2019年3月末までに契約するかどうかは考えるべきタイミングの1つです。
ローンは最長35年、返済終了は何歳?
購入を先送りすることは、返済終了がその分遅くなるということにもつながります。住宅ローンの返済期間は多くの場合35年で設定します。

相談者は現在32歳、夫は34歳ということですが、今住宅ローンを35年で組むと、返済終了時の夫の年齢は69歳。しかし、3年後に購入した場合は72歳になります。

仮に定年後に返済が残ってしまった場合、退職金などで住宅ローン残金を一括返済する方が多いですが、なるべくならば老後の資金に残しておきたいものです。

ただし、頭金を多く用意したり、繰り上げ返済を行うことで、借入期間を短く組んだり、毎月の返済額を減額したりすることも可能。もし購入時期を先にするのであれば、今支給されている家賃補助をなるべく貯めておき、その分を購入時の頭金に充てるなど、計画しておきましょう。

転勤があるなら資産性も重視
ここまで、今買うか、数年後に買うかの違いを、お金の面で見てきましたが、いざ買う場合は「資産性」は考慮しましょう。相談者は転勤の可能性があるということですが、購入した後に転勤となった場合、「貸す」か「売る」かを判断することになります。

「貸す」場合は、毎月の返済額やマンションの場合は管理費・修繕積立金を加えた住居費を賄うだけの賃料で貸せないと、転勤先の住居費と二重で負担が増えることになってしまいます。「売る」場合も同様。購入額よりも売却額のほうが低くなる場合、不足分は現金で清算しなければならず、思わぬ出費になることも。

近隣の賃料相場や、売却相場も確認して、購入する物件を見定める必要があります。この辺りは自分自身で調べるには限界があるので、スーモカウンターなどプロに相談するのがオススメです。