なぜ青森に?中国人観光客が殺到するワケ
多くの中国人観光客が日本を訪れているが、彼らの訪れる観光地に変化が起きている。
これまでは「京都~富士山~東京で買い物」が定番だったが、最近は「中国人の行かないところ」を求める傾向があるようだ。
そこで今、注目が集まっている場所が「青森」。なぜ、青森に中国人観光客が殺到しているのか。その理由を中国情勢に詳しいコメンテーターの富坂聰氏に聞いた。(聞き手:ニッポン放送『あさラジ!』高嶋ひでたけ)
定番の観光地に飽きた
高嶋:
中国人観光客の多くが、青森県に行っているようですね。
富坂:
北海道に飽きた人が次に目指している感じですね。
最近の傾向は、「中国人が行っていないところにどんどん行こう」となっています。隙間へと向かっているのです。
「京都へ行って、富士山行って、東京で買い物して帰国」というような定番に飽きてしまった。しばらくは、2番目くらいに有名な場所に行っていたのですが、いまや日本人が行かないようなところを目指して行くという中で、青森が入ってきているのです。
意外に雪景色のない中国
高嶋:
青森で何を見たりするのでしょうか?
富坂:
意外に日本人も気づいていないですが、十和田湖のきれいさや、雪国ならではの美しい景観を楽しんでいます。中国人は雪を見るだけでも喜びます。
北京はこの季節、夜中だとマイナス20度を超えたりしますが、気温の割には雪がきれいに降らないのです。東京よりも雪に弱くて、少し降るだけで首都機能がパンクしてしまう。
その意味で言うと「きれいな雪景色」というのが、あまりありません。黒い雪が降ったりしますし。
高嶋:
下北半島、恐山、奥入瀬渓流など、ああいうのも好きなのでしょうか?
富坂:
そうだと思います。日本の雰囲気があって、さらに中国人がいない場所。
どんどん傾向は変わっていますが、その中で「観光地は少しぼったくられている」という話題もあります。これはヨーロッパでは最近顕著ですね。
中国人がヨーロッパでぼったくり被害に
高嶋:
中国人旅行者が、ヨーロッパでぼったくりに遭う?
富坂:
昔は逆に中国は「二重価格」で、外国人価格と中国人価格に分かれていましたけどね。
それはハッキリと制度として決まっていたみたいですが、最近はフランスやイタリアに行くと、「中国人価格」というのがあって、それでも払う。
面白いのは、「鳩のエサ」が20ユーロ(約2,720円)もします。
ぼったくりは悪いことですが、それくらい高くてもいいかな、と個人的には思いました。彼らは、安いとやりすぎるじゃないですか。だから、そういう意味では、高くしてもいいかなと。
高嶋:
日本の観光地も主なところはみんな行ってしまって、リピーターが多いと聞きます。そうすると、「いまは青森です」と隙間をねらう。
富坂:
眠っているところは、いまアピールチャンスです!「誰も中国人が来ていない」とアピールできますからね。