千葉市   三菱ふそう、エレベーター付き観光バスで攻勢

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三菱ふそう、エレベーター付き観光バスで攻勢 五輪へバリアフリー対応強化

2020年東京五輪・パラリンピックをにらみ、商用車メーカーがバリアフリーに対応した大型バスの展開で攻勢をかけている。三菱ふそうトラック・バスは、車いす利用者が車内のエレベーターで乗降できる観光バスを11月中旬に発売。日野自動車も、使い勝手を改善したリフト付き観光バスの事業拡大を狙う。「人にやさしいバス」の提案力を競う動きが、強まっている。

千葉市美浜区の幕張メッセで2日に開かれた体験型バスイベント「バステクin首都圏」で、三菱ふそうは、大型観光バス「エアロエース」のエレベーター付きモデルを公開した。エレベーターを装備した大型観光バスの量産化は、国内で初めて。

車いすで観光バスに乗車する場合、「昇降用リフト」を利用するケースが主流だが、リフトを車外に引き出す際に広いスペースを確保する必要があるほか、悪天候の際に不便だった。

新モデルは、車いす利用者が緩やかな傾斜の「スロープ板」で中央部の乗降口に乗り込み、係員によるリモコン操作で客室フロアまで上昇する。車内への乗り込み時間は約5分30秒で、手間がかかるリフト付きバスの半分に短縮でき、雨や風も防げる。

同社は、バリアフリー対応バスによる観光ツアーや羽田、成田空港発着の輸送バスの増加を踏まえ、「新モデルを来年末までに約100台販売したい」と事業拡大を狙う。

大型観光バス市場でトップシェアの日野は、いすゞ自動車との合弁会社で生産する大型観光バス「セレガ」のリフト付きモデルを昨年5月に改良。乗降装置を小型化し、広い荷室スペースを確保するなど、バス事業者目線で改善した。

日本バス協会によると、「人にやさしいバス」の導入台数は拡大傾向にある。段差のない「ノンステップバス」は平成21年度末の1万3841台が、28年度末に2万3600台に増えた。一方、リフト付きバスは、車両価格が通常車両よりも350万円以上高いこともあり、2千台前後にとどまっている。