千葉市 世界記録保持者・鈴木雄介、復帰戦へ「深く感謝」/陸上
陸上・男子20キロ競歩の世界記録保持者で、19日の東日本実業団選手権5000メートル競歩で競技に復帰する鈴木雄介(30)=富士通=が17日、千葉市内で報道陣の取材に応じ、復帰戦への思いを語った。
「復帰する機会をいただけて深く感謝しています。2年9カ月ぶりのレースをしっかり歩ききるよう、楽しんでレースできるように頑張りたい」
鈴木は、やや緊張した面持ちで話した。
2015年3月に1時間16分36秒の世界新記録をマーク。同年8月の世界選手権では金メダルの期待がかかったが、恥骨炎の影響などで途中棄権。その後も恥骨の疲労骨折が癒えず、翌年3月のリオデジャネイロ五輪代表最終選考会も欠場した。長いリハビリ生活の末に、ようやくの試合復帰できるまでになった。
「完全に癒えた状況ではなく、リハビリは続いているが、練習を継続してできる状態になった。競歩選手の練習と呼べるレベルまでは戻ってきたが、まだまだ上を目指したい。日本代表を目指せるときが本当の復活になる」
この間、治療に通っては改善せず、落ち込んで新たな治療先を捜すことを繰り返していた。リオデジャネイロ五輪選考会に出場できず、「一度気持ちが切れた」とも。五輪のころは約半年間、石川県に帰省し、そちらの病院に通っていた。「陸上を辞めて、普通に働くべきじゃないかと思ったこともある」。ただ、引退からセカンドキャリアを考えたとき、できることなら競歩に関わり続けたいと考えたが、コーチをやるためにもけがを治す必要があると考え直したという。
グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)の治療実績が豊富な埼玉県の病院を紹介され、通院を始めたのは昨年8月。そこでのリハビリが効果的だったという。昨年12月に練習再開の許可が出て、「始めると、だんだん痛みが出てこない状態になり、練習を継続できるようになった。競技をできる状況は、以前は当たり前だったが、一番幸せだと感じられるようになった」と喜びを語る。
「正直、自分自身で自分の心は支えられていなかった」。1年以上、試合に出られなくても会社が「リハビリを続けさせてくれた環境が一番大きかった」という。
もう一つ、大きかったと鈴木が感謝するのは日本陸連の処分だ。
リハビリに通うための交通費の請求に不正があるとして処分を受けたことが明らかになったのは今年2月。請求に際し、そのころ住んでいた場所からではなく、登録上の住所である千葉市の陸上部寮から通ったと請求したため、約30万円が不正とされ、17年10月から今年3月末までの半年間、会員登録資格停止処分を受けた。
「その通告の時、陸連の方から『本来は永久追放でもおかしくないが、復帰に期待を込めて6カ月にした』と言葉をもらった。復帰は自分一人の責任じゃない、チャンスをくれた連盟に恩返しをできるようにと思いました」。感謝とともに振り返る。
鈴木は、美しく、失格にならないフォームで知られるが、それでも「本来使うべきお尻の筋肉をうまく使えず、代わりにももの外側の筋肉を使ってガツガツ着地させ、反発をスピードにつなげていた」という。それが筋肉のバランスを狂わせ、けがにつながっていたという。今後は、そうした部分を修正し、新しい自分を目指すという。
19日の復帰戦は男女同時スタート。「もしかしたら女子にも負けるかも。さすがに女子には負けたくない」と苦笑い。2020年東京五輪は頭の中にあるが、「まだリハビリ継続中なので油断はできない。一つ一つに集中し、クリアしていく先に東京五輪があれば」と着実な前進で夢舞台を目指す考えを示した。
本日、千葉市美浜区真砂自宅より依頼を受け、お伺い、車椅子にて
千葉市中央区椿森国立医療センターに通院治療をされ戻りました。