千葉市
利用「順調」1万回突破 千葉市のシェアサイクル実証実験 提供地区拡大へ
幕張新都心(千葉市美浜区)と千葉都心(中央区)で始まった電動アシスト付き自転車共有サービス「シェアサイクル」の実証実験で、市は9月の利用回数が1万回を超えたと発表した。実験開始直後の4月に比べ3・6倍に増加した。専用駐輪場(ステーション)や自転車台数の拡大に伴い「利用者は順調に増えている」と市。サービス提供地区を広げ、2019年3月までに自転車を今年9月末現在の326台から1千台へ増やす。
実証実験は市がまちの回遊性向上に向け、3月からJR海浜幕張駅と千葉駅周辺で始めた。自転車を増やすとともに、ステーションを公共施設の敷地や商業施設などの民有地に増設。9月末現在、設置数は幕張新都心が39カ所計133台(実験開始時は12カ所計50台)、千葉都心が53カ所計127台(同11カ所計60台)となっている。
市国家戦略特区推進課によると、市内全域の9月の利用人数は計2446人、利用回数は計1万295回となり、いずれも4月から3倍強に増えた。そのうち人数、回数ともに割合の高かった幕張新都心では1790人が計7821回(4月は539人、計2258回)利用。千葉都心では643人が計2059回(同233人、595回)利用した。
自転車の貸出時間は両エリアとも15分以下が多く、短距離の移動に活用されている傾向がうかがえる。同課は8~9月に実施した利用者アンケートの結果も踏まえ「買い物などの日常利用や通勤、通学の足として、月に2~3回ほど利用する人が多い」と分析する。
市は幕張新都心で13年12月~15年3月、「マックル」の愛称で自転車を貸し出す社会実験を市観光協会に委託して実施。乗り捨てが多発した上、事業費に充てる協賛広告も集まらず“失敗”に終わっていた。
今回の実証実験は東京都内などでシェアサイクルを展開する「OpenStreet」(東京)が事業費を全額負担して運営。大きなトラブルの報告はないという。熊谷俊人市長は同社との連携や自転車が衛星利用測位システム(GPS)付きであることを“成功”要因に挙げ「(本格導入に向け)有望な利用状況。過去の教訓が生きた」と喜んだ。
市は19年3月までに自転車台数を計千台に拡大し、実証実験期間の同年9月までに有効性を検証。本格導入を検討する。利用者からは当初計画になかった検見川や稲毛、蘇我地区へのステーション設置希望が上がっており、併せてサービス提供エリアを拡大していく方針だ。
シェアサイクルはスマートフォンなどで事前登録すれば、いつでも好きなステーションから利用できる。料金は15分ごと60円、1日最大千円。