千葉市   幕張メッセ169サイクルモード2018

千葉市       幕張メッセ

最新e-BIKEから未発売モデルまで サイクルモード2018

 

2018年11月9~11日の3日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で1000台以上ものスポーツ自転車が一堂に会す日本最大級のスポーツサイクル展示会、「サイクルモードインターナショナル2018」が開催された。

国内外の最新モデルが並ぶだけでなく、専用コースで試乗することもできる体験型イベントとして毎年多くのサイクリストが訪れる。また、車両以外にもパーツやアクセサリー、ウェアなどの関連製品も数多く展示されているので、スポーツ自転車をとりまく現在のシーンや今後のトレンドを広く知ることができる。

今年とくに目立ったのは、やはりe-BIKEのブースである。すでに何度か記事にしているのでご存じの方も多いと思うが、e-BIKEとは電動アシスト付きのスポーツサイクルのこと。

今年はヤマハ、パナソニック、トレック、メリダなど、国内外のさまざまなメーカー(ブランド)からe-BIKEの新型モデルが登場。専門メディアのみならず、一般メディアでも「e-BIKE元年」としてたびたび取り上げられた。サイクルモード自体は開催規模が縮小傾向にあるが、e-BIKE関連のブースは年々その数を増やしており、今年も昨年に続いて特設コーナーが設けられた。

完成車を販売するブランドだけではなく、ボッシュやバーファンなど、e-BIKEのドライブユニットを製造するいわゆるBtoB企業もブースを出展するなど、e-BIKEにかける業界の期待の高さがうかがえた。

今回の記事では、そんなe-BIKEのほか、これから発売されるモデルや参考出品車、あまり知られていないマニアックなパーツを中心に紹介しよう。

パナソニックサイクルテックのブースで参考出品車として展示された一台が気になった。フロントだけではなく、リアにもサスペンションを備えるe-MTB(マウンテンバイクタイプのe-BIKE)である。

担当者の話では市販を前提にしたものだという。ドライブユニットはすでに販売されている「XM2」と同じものを搭載。160㎜のストローク量をもつ前後サスペンションと27.5×2.8という太めのタイヤを組み合わせることでMTB用ダウンヒルコースのようなハードなシチュエーションにも対応する。

価格は未定だが、パーツなどの仕様を見ると50万円以上はするだろう。これまで国内で展開されているe-BIKEはスポーツ自転車のエントリー層、あるいは乗ったことのない層を対象にしたものがほとんどだったが、今後はこうしたコアな層をターゲットにした製品も展開されるようだ。

台湾のe-BIKE専門ブランド「BESV(ベスビー)」からも、フルサス(フルサスペンション)タイプのe-MTB「TR S2 AM」が出展された。アルミフレームにシマノのe-BIKE用ドライブユニット「STEPS E8080」と、150㎜のストローク量をもつ前後サスペンションを組み合わせる本格的なもの。

通常、e-BiKE用ドライブユニットというのはモータードライブユニット、メーターディスプレー、バッテリーがセットになったものだが、TR S2 AMは車体とのマッチングを重視したためか、バッテリーだけフレーム内蔵式の自社設計品を採用している。

バッテリーが露出していないため、あたかも普通のMTBのようなスマートなルックスだ。車体重量は23㎏で充電1回あたりの走行距離は最大140㎞。2019年発売予定で価格は未定。

こちらはベスビーの「JR1 PRO」。すでに販売されている「JR1」の上級グレードにあたるロードバイクタイプのe-BIKEだ。

モーターをリアハブ(後輪中心部)に搭載し、バッテリーもダウンチューブに内蔵することで普通のロードバイクに近いルックスに。車体とドライブユニットを両方とも自社で設計するベスビーならではのアドバンテージだ。

変速機やブレーキなどのコンポーネントはシマノの上級グレード「アルテグラ」を採用。大容量バッテリーを搭載し、充電1回あたりの航続距離は約138㎞。車両重量は14.9kgとe-BIKEとしてはかなり軽量だ。発売は未定。
大阪の合理的な折り畳み式ツーリング自転車
小さなブースでの展示ながら興味を引いたのが、大阪発の自転車ブランド「ウィンドコグ」の折り畳み式のツーリング自転車「ZIC」。独創的なデザインのフレームは、ボトルや輪行袋などのアクセサリーを複数装着でき、それらを装着したままでも簡単に折り畳めるのが特徴だ。折り畳んだ状態のまま両輪を転がして運ぶこともできる。

フレームはアルミ製で、カーボンフォークやドロップハンドル、20段変速、細身の高圧タイヤを組み合わせることでロングライドにも対応でき、走行性能は本格的だ。

ポリッシュ仕上げの前後フェンダー(泥よけ)が標準装備されるなど各部の質感もなかなかのもの。

京都の職人技。ウェルドワンのチタンフレームバイク
一流ビルダーによるハンドメードバイクを展示するブースでひときわ目を引いたのが、京都「ウェルドワン」のチタンフレームのロードバイク。今年開催された英国の「ハンドメードバイクショー」に出展した車両だという。

チタン合金は強さとしなやかさを兼ね備え、自転車のフレームとしても優れているが、加工が難しいことでも知られている。そのチタン合金をまるでアメ細工のように自在に加工する高度な技術はまさに圧巻。特にステムと一体になったチタン製のハンドルバーは、世界中を探してもまず見ることはできないだろう。

また、フレームに描かれた桜の花びらは塗装ではなく、放電加工で着色したもの。筆に電流を流し、電圧と表面に触れる時間を変えることで色合いをコントロールするのだとか。

シートステー(サドル付近からリアエンドまでをつなぐ部分)のみ、軽量かつ振動吸収性の高いカーボン素材が使用されており、こだわりがルックスだけではないことをうかがわせる。フレームの設計からマシニング(切削)加工、グラフィックまですべて代表の小西栄二氏ひとりで手掛けている。
無線ですべてのライトを同期しスマホで一括管理
自転車用ライトやサイクルメーターで知られるキャットアイは、新型ライト「SYNC(シンク)」シリーズを展示。ライト同士が無線(Bluetooth)で同期し、どれかひとつをオンにするだけで全てのライトを点灯できる。トンネルなどを走行するときに、個別にライトを点灯させる手間がなくなる。

ヘッドライトに設けられたインジケーターで同期中のライトのバッテリー残量が分かるほか、スマホ専用アプリで最大7台のライトがペアリング可能。画面上で各ライトの点灯モードの設定などが一括管理できる。
劇的な進化を遂げる屋内練習用のサイクルトレーナー
屋内練習用のサイクルトレーナーが劇的な進化を遂げている。走行データを高度に解析できるスマートトレーナーの登場により、仮想空間上でサイクリングが楽しめるようになったのだ。

写真は米国のフィットネス機器メーカー、ワフーの「KICKR(キッカー)」。別売りの機器を組み合わせれば、3Dのコンピューターグラフィック画面と連動して負荷が変化するだけではなく、斜度に応じてバイクの角度も変化。

さらにスピードやライダーの心拍数などに応じた走行風まで再現できる。トレーナーというより、シュミレーターと呼ぶにふさわしいモデルだ。

●VIVA「パンク安心袋」

クラシカルなコットン製バーテープなどが有名なVIVAの新製品がこちらの「パンク安心袋」。パンク修理キットを入れる袋をお守り風にデザインしたもの。しっかりと刺繍で描かれており、なかなかシャレが利いている。