千葉市 「旅はいいもの」5年かけ歩き本州一周 

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「旅はいいもの」5年かけ歩き本州一周 京成バス元相談役の小田さん(75)

 

大日本全図を作製した伊能忠敬さながらに、京成バス元相談役の小田征一さん(75)=千葉市美浜区=が本州の海岸線を歩き、およそ5年かけて一周を達成した。大雪や台風、豪雨に何度も道を阻まれながら、一人歩きでつないだ足跡。小田さんは「旅はいいもの」と実感を込めて喜びを語った。一方で、本州一周で満足することなく、四国や九州などへの“遠征”も視野に、日本一周の夢を描く。

小田さんは2013年6月、銚子市を出発し、まずは千葉県を一周。その後、本州一周の旅をスタートした。同区の自宅を拠点に月7~10日を確保して海岸線を歩き、旅から自宅に戻っては旅先の史跡や名所の写真、地図などを克明に記録。足跡をノートに記してきた。

今年10月15日、山口県下関市にたどり着き、これまでの足跡を結ぶと、ついに本州一周を達成。5年余りで延べ226日(1608時間)を歩き、距離は5365キロに及んだ。“旅の友”の記録ノートも3冊になった。

大きな目標だった「本州一周」の達成感を胸に、小田さんは「旅はいいものだよ。風雨に打たれながら自分の足だけを頼りにひたすら歩くと、ビジネスや経済の世界を超越して物事を感じるようになる」と話した。

歩きながら手帳にメモした旅の記録。帰宅後に、B5判のノートに転記し、まとめる
道程を振り返ると、日本海側を歩いた18年は風雨や異常気象に悩まされた。今年2月には記録的な大雪となりやむなく千葉に撤退。夏には山陰地方で台風と豪雨に出くわした。

困難な道程だったが、日頃からジョギングや速歩、水泳で鍛えた体で、乗り切った。今回の旅で1日に歩いた距離は、平均24キロだったという。大きな目標は達成したが、気力は充実しており、小田さんは「もう少し続けたい」。四国や九州一周にも意欲をみせた。

◇ 【おだ・ゆきかつ】1943年、館山市出身。京成電鉄株式会社自動車本部でバス事業に携わり、同社取締役。2003年、京成バス株式会社設立と同時に代表取締役社長に就任。その後、同社会長を務めるかたわら日本バス協会など多くの団体の理事、会長職を歴任し、14年、同社相談役退任。