千葉市
日本美術が内包するズレを示す、鋭い分析とユニークな視点『小沢剛 不完全 パラレルな美術史』
1965年生まれの現代美術家、小沢剛。日本の美術をとりまく状況や歴史を読み直した、鋭くもどこか笑いを誘う作品を発表し続けている。
銀座の老舗「なびす画廊」前の路上に宅配用牛乳箱の内部をホワイトキューブに見立てた小型移動式画廊『なすび画廊』を設置したのは最初期の93年。日本の貸画廊批判から出発した作品だったが、その後、各国作家とのコラボレーションへと展開は広がる。
史実とフィクションが重なる作品にも取り組み、桃山時代に醤油画文化が花開いたという想像上の美術史に基づく『醤油画資料館』(99年)はそのひとつ。時代に翻弄された画家、藤田嗣治をモデルとして架空の画家の物語を構築した『帰って来たペインターF』(2015年)も近年の話題作だ。
昨年には東京藝術大学の大石膏室で、一面の羊毛の中に「ミロのビーナス」などの石膏像を配したインスタレーション『不完全』を披露。明治初期に日本に輸入され、本家の欧州で廃れた後も美大入試科目であり続ける石膏像デッサンや、聖域と化した石膏室に関心を抱く小沢らしい渾身作だった。
今回の展覧会名でもある『不完全』は、岡倉天心が20世紀初めに記した『茶の本』から取られた。「『不完全』は『完全』に至らぬ不備なものというネガティブなものではなく、より可能性が開かれた豊かな状態を示す言葉だと考える」と小沢は言う。そして彼はその不完全性に近づこうとする。明治維新以降の日本の美術における異種混沌とした状況をおかしく見せてしまう上質な皮肉とともに、文化を読み直す。千葉市美術館学芸員の水沼啓和の言葉を借りると、「日本美術をさまざまに再認識させてくれる」作品なのだ。
本展で紹介されるのは『なすび画廊』から最新作まで。小沢作品の醍醐味を存分に味わえる。
本日、千葉市花見川区さつきが丘自宅より依頼を受け、お伺い、車椅子にて
千葉市美浜区ひび野ホテルニューオータニ幕張に行かれました。