松戸市
幸せになることこそリベンジ/サリドマイド薬害被害者の女性が青森山田中で講演、「無知が被害拡大」
サリドマイド薬害の被害者・増山ゆかりさん(55)=千葉県松戸市=が11月28日、青森市の青森山田中学校で講演した。増山さんは、薬害被害者と家族が受けた苦しみを語り、「薬害の根源は、人が正しいことをできなかったことにある」と強調した。
サリドマイドは睡眠薬などの大衆薬として1957年、旧西ドイツで発売。服用した妊婦から障害のある子供が生まれ販売中止となった。
しかし、国内では回収が遅れ、被害者は約千人に上った。2009年に多発性骨髄腫の治療薬として販売が再開された。
講演は、同中の総合的な学習の一環として行われた。増山さんは生徒一人一人に語りかけるように自身のこれまでを語った。
増山さんは、障害のため幼いころから病院や施設で過ごした。両親がいることを知ったのは成長してからだった。障害を理由に就職で苦労した上、日常生活でも差別を受けた。
増山さんの母は亡くなる間際まで「自分が服用しなければ」と後悔していたという。増山さんは苦労を重ねた半生を振り返り、「薬害への唯一のリベンジは、私が幸せになること」と語った。
薬害について、増山さんは「被害が確認されているのに、忖度(そんたく)し対応を先送りし、被害が拡大したことが問題」と強調。「無知や過ちが大きな被害につながることがある。正しい行いができるよう、人の心に寄り添える人になって」と生徒に呼びかけた。
講演では、増山さんが料理や運転などをする映像も映された。2年生の松本晏奈さんは「薬害被害者は障害のため引きこもりがちだと聞いていたが、増山さんは何でも自分でやっていてすごい」と話した。