浦安市
命の大切さ・遺族の悲しみ知って 群馬県庁で「メッセージ展」 事件・事故などの被害者の遺品展示
事件や事故、医療過誤、いじめなどで理不尽に命を絶たれた被害者の等身大のパネルや遺品を展示し、命の大切さを訴える「生命(いのち)のメッセージ展」が30日まで、県庁県民ホールで開かれている。時間が経過しても、かけがえのない人を失った遺族の悲しみは消えることはない。犯罪被害者とその家族を支援する動きは県内でも広がっている。 (橋爪一彦)
会場には「メッセンジャー」と呼ばれる被害者の等身大のパネル158人分が並ぶ。写真が貼られたパネルには、亡くなった理由と遺族からのメッセージが記され、足元には被害者が生前に履いていた靴が置かれている。
主催したのは、桐生市在住で、いのちのミュージアム群馬実行委員会事務局長の山田穂子(すいこ)さん(65)。23年前に長男、大助さん=当時(18)=がバイク運転中、自動車の無謀な運転による事故に巻き込まれ、亡くなった。
「優しくて明るい子だった。息子は亡くなったが、パネルに生命を吹き込み、息子がどんな風に生きてきたのか伝えたい」
相手のドライバーが、大助さんが猛スピードで衝突してきたと嘘の供述をし、罪をかぶせられていたことが後になって判明したという。
「息子を亡くした悲しみのうえ、息子を冒涜(ぼうとく)された。悔しくて、裁判で息子の名誉を勝ち取ったが、息子は帰ってこない」と目を潤ませる。
千葉県浦安市の頼近静瑛さん(57)は7年前、長男の佳和さん=当時(16)=を交通事故で失った。
「バスケットボールが好きで、明るく優しかった。母子家庭だったけど、正義感のある誇らしい息子に育った」という佳和さんはバイクで停車中、ワゴン車に追突されて亡くなった。
頼近さんも山田さんと似た経験をした。
後になって、事故が起きたのは、佳和さんが飛び出してきたためだと、相手のドライバーと同乗者が口裏を合わせて嘘の証言をしていたことが分かった。茫然(ぼうぜん)自失の状態となり、ショックは大きかった。
山田さんは平成18年、「ゆいハート語りの会」を立ち上げた。心に深い傷がある遺族同士が、何の気兼ねなく語り合える癒やしの場だ。
子供を連れて会場を訪れた前橋市の大嶋千佳さん(39)は「いつ自分も大切な家族を亡くすかもしれないと思うと、人ごととは思えない。事故の怖さ、命の大切さを子供にしっかりと伝えたい」と話した。
会場では、犯罪被害者とその家族を支援する公益社団法人「被害者支援センターすてっぷぐんま」と、県性暴力被害者サポートセンター「Save ぐんま」の職員が「被害に遭って困っていたら、気軽に電話して」とPRしている。
ともに相談無料で秘密は厳守される。平日の午前10時~午後4時(Save ぐんまは午前9時~午後4時)に受け付ける。
電話番号は、被害者支援センターすてっぷぐんま(電)027・253・9991。Save ぐんま(電)027・329・6125。