船橋市  痛みはどうやって医師に伝える?

船橋市    痛みはどうやって医師に伝える? 「危険な痛み」の伝え方

“痛み”は身体が発するSOS。だが、必ずしも病気になった臓器の周辺が痛むとは限らない。たとえば、心臓の病気で肩に症状が出るなど、思いも寄らない場所が痛むことがある。こうした痛みは「関連痛」「放散痛」と呼ばれるが、病気になった臓器の周辺ではなく、別の場所だけに生じる痛みと、そうでない痛みを見分けるにはどうすればいいのか。素人には難しい面もあるが、正しい診断につながるためのポイントは押さえておきたい。

 

まずは「随伴症状」がないか。総合診療医で、アメリカの家庭医療の専門医資格も持つ生坂政臣さん(千葉大学医学部附属病院総合診療科科長)によると、内臓痛では、冷や汗が出る、気持ち悪くなるなど、自律神経症状も一緒に出ることが多い。“どことなく痛くて、自律神経症状が出ているとき”は、重篤な病気によるキケンな痛みの可能性が高いという。

医療機関を受診する際にもこんなコツがある。最も望ましいのはかかりつけ医をつくっておくこと。そうすればどんな場所の痛みでも診てくれるからだ。地域のかかりつけ医として在宅医療などを行う、鈴木内科医院(東京都大田区)の鈴木央さんは言う。

「痛みの診断は、医師の問診と診察だけでは十分ではなく、患者さんの具体的な訴えがあってこそ、診断の精度は高まるもの。患者さんと医師との二人三脚での作業が大切なのです」

どんな伝え方が望ましいのかは、表にした。痛み出した時期や場所だけでなく、痛み方の特徴やパターンなども伝えておこう。さらに、伝えるタイミングも重要だ。

「診察が終わって、帰る間際になって『実は、ここが痛いときがある』とおっしゃられる患者さんがたまにいます。それで診断がやり直しになることもあるので、痛みはできるだけ最初に、具体的に伝えてもらえると助かります」(鈴木さん)

頭痛や肩痛など慢性的な痛みがある人は、“いつもと違う痛み”があったら必ず伝えること。新たな病気の出現で痛みが生じている可能性があるからだ。

そして当たり前のことのようだが「できるだけ昼間、受診すること」。消化器が専門の帝京大学医学部附属病院IBD(炎症性腸疾患)センター長の橋口陽二郞さんが言う。

「よくあるのは、昼間に痛みをガマンして夜になってガマンできず受診するパターンです。夜間は当直医がいますが、医療機関によっては、その病気について専門ではないこともあり、検査を受け持つ技師がいないこともある。万全な態勢で治療を受けられません。一方、昼間に受診すればベテランの医師もいて、必要な検査も受けられます」

今回は、痛みについてみてきたが、こうした身体のSOSを感じにくい人もいる。千葉徳洲会病院[千葉県船橋市]副院長の鶴田好彦さんによると、「糖尿病患者や、病気の治療で免疫抑制薬のステロイド薬を使っている人、高齢者など」だという。

「とくに糖尿病の患者さんでは、狭心症や心筋梗塞の症状をはっきり訴えないため、心停止という状態で、家族の通報で発見されることもあります。こうした自覚症状に乏しい人はそういうリスクがあることを知っておくとともに、食欲不振やだるさなど、痛み以外の症状に気付くよう、周りがサポートすることが大切です」(鶴田さん)

「痛み」がある場合、医師にこれだけは伝えよう
■いつから痛むのか、急に痛み出したのか(時期)
■どこが痛むのか(場所)
■ずっと同じ場所が痛いか、移動しているか
■痛み方(ピリピリ、うずく、刺す、チクチクするなど)
■持続的に痛むか、周期的に痛むか
■痛みは強まっているか
■痛み以外に症状があるか(汗、吐き気など)
■動作や食事など、きっかけに心当たりはあるか
■常備薬(※お薬手帳があれば持っていく)
■持病があるか