船橋市 「ホンビノス貝」が千葉県ブランド水産物に 

船橋市

北米原産「ホンビノス貝」が千葉県ブランド水産物に 濃厚な味、漁獲量で期待大

千葉県が、外来種の二枚貝「ホンビノス貝」を県が品質の高さにお墨付きを与える「千葉ブランド水産物」に認定し、話題を呼んでいる。同県特産のアサリやバカガイより海水中の酸素が少なくなる青潮に強く、同県船橋市では5年間でアサリの漁獲量が半分以下に落ち込んだのに対し、ホンビノス貝の漁獲量は約3倍に拡大した。外来種特有の在来種への被害報告もなく、県は産地視察会を企画するなどして売り込みに乗り出している。

10月5日朝、船橋市の船橋港で行われた県などが主催する水産物の産地視察会。同市の沖合の干潟「三番瀬」周辺で採れた粒の大きいホンビノス貝が、次々と貝類の出荷を扱う「かねはち水産」(同市)の施設に運び込まれ、手作業でサイズ別に仕分けされていった。

年間を通じて安定的に採れるホンビノス貝は今や漁師の人気者だといい、同社の内海金太郎社長(38)は「春と秋が特においしい。他の貝と住んでいる場所も違っており、すみ分けもできているみたいですよ」と教えてくれた。

ホンビノス貝は北米原産で、貨物船が排出するバラスト水に混じって約20年前に東京湾にやってきたものとみられ、三番瀬付近では10年ほど前から採れるようになった。

同市によると、同市沖合で青潮が相次いでいることもあり、アサリの漁獲高は平成25年度の171トンから29年度は76トンと半分以下に減少。一方で、比較的青潮に強いホンビノス貝は25年度の565トンから1676トンと大きく漁獲高を伸ばしている。

外来種にありがちな食害や在来種の駆逐も一切なく、在来種のアサリやバカガイなどとも共存している。アサリに比べて単価は低いが、粒が大きく味が濃いのが特長で、地元では濃厚な味わいを生かそうとバーベキューの浜焼きやかき揚げ、フライ、ワイン蒸しなどさまざまな食べ方が考案されている。

5日の視察会には、県内や東京都などのホテルの料理人や食材の仕入れ担当者ら約30人が参加。貝の特徴について説明を受けた後、水揚げされたホンビノス貝を使ったみそ汁を味わった。

食べてみると、肉厚の貝の身の濃厚な味と磯の香りが溶け出したみそ汁が絶妙な味わいで、漁獲高が減っているハマグリの代わりとして居酒屋などで流通しつつあるというのもうなずけた。

試食した同県佐倉市のフランス料理店の男性店主は「あまり食べたことがなかったが、味も良く、思ったよりも柔らかく食べやすかった。何か使えないか検討したい」と話した。

船橋市漁業協同組合は同市出身のシンガー・ソングライター、高橋涼子さんが作詞作曲した「ホン・ホン・ホンビノス♪」を公認PRソングに採用。県も各地のホテルや物産展などで積極的にPRに乗り出しており、担当者は「千葉のホンビノス貝の良さを消費者に広く知ってもらいたい」と意気込んでいる。(千葉総局 永田岳彦)

■ホンビノス貝 北米原産の二枚貝。大きさは幅5~10センチのものが多いが、中には十数センチに育つものもある。身はハマグリに比べてやや固いが、味は濃い。米国では主にクラムチャウダーに使われる。千葉県は平成29年度に外来種では初めて「千葉ブランド水産物」に認定した。