船橋市 “不漁”のはずが…国産ウナギが余っている!?

船橋市

“不漁”のはずが…国産ウナギが余っている!? 「土用の丑の日」目前に異変

価格も“うなぎ上り”
20日の土用の丑の日を前に、国産ウナギに異変が起きている。

千葉県の成田山新勝寺の参道には、20店舗以上のうなぎ店が建ち並び、辺りにはうなぎが焼きあがる香ばしいかおりが漂っていた。

鰻の値段はこれだけかわった

当日は混むと考えて日にちをずらてきたという人や、久しぶりに食べたという、うなぎの美味しさに笑顔をみせる人など、お客さんで賑わうお店を取材した。

菊屋では、200年以上国産ウナギの使用にこだわっていたが、稚魚の記録的な不漁による空前のウナギ不足により、今年2月から国産と外国産の2種類を使用することにしたという。

女将の石橋真衣子さんは、「国産で賄えなくなったんです。それで、本当にやむを得ず外国産を使うようになりました。(メニューを)また全部、国産に戻したいですね」と話す。

ウナギの卸値は、去年5月に1kgあたり4073円だったが、今年5月には5378円となり、1年間で約1300円もアップする“うなぎ上り”の価格となった。

そのため、価格の安い外国産のウナギに切り替える店が多い。
国産へ切り替える店も…原因は?
そんな中、千葉県船橋市の「うなぎ旬彩 はんなり亭」の店先には、「国産鰻のみの使用へ変更いたします」という案内紙が貼られていた。

記録的不漁を受け、今年3月から中国産、台湾産のウナギを併用していたというこの店。
しかし、店主が問屋や養鰻家らと協議して、今後も国産ウナギが納品できるようになったのだという。

「6月30日くらいから中国産や台湾産をやめて、国産一本でできるようになりました」(店主・辻本義孝さん)

取材した18日に入荷したウナギは宮崎県産で、今年獲れた稚魚が成長した半年物の新仔ウナギ。

皮が薄く、身がふっくらとしているのが特徴だ。

需要が高まるこの時期に、なぜ国産ウナギ一本に切り替えることができたのか?
国内有数のウナギの産地、宮崎市を訪れると、意外な答えが返ってきた。
不漁のはずの国産ウナギが売れないという予想外の事態が起きていたのだ。
宮崎県養鰻漁業協同組合の岩切庄一組合長に話を聞くと、「ウナギが売れなくて一番困ってます。安心で旨いうなぎが売れないというのは、ちょっと考えられないですね。不思議です」という。

その理由については、「原因というか、輸入物に押されているというのが現状だと思う」と分析。

国産よりも値段の安い外国産ウナギの需要が高まり、国産ウナギに買い手がつかない状況だという。
土用の丑の日を前にしても、出荷量は例年の3割ほどという。
岩切組合長は「大変です。今年単年で考えれば、相当厳しいですね」と不安をもらした。

「国産」と「輸入」の違い
日本の食文化「鰻」をめぐる状況は、どこに向かうのか? スタジオでは、反町理キャスターが「国産ウナギ」の定義にも問題があると指摘した。

反町理キャスター:
「国産ウナギが足りないわけではない」というのはいい話に聞こえますが、国産うなぎの定義にも問題があります。
政府の担当部局によりますと、数センチのシラスウナギから国内で養殖したウナギならば、「国産」と認定されるのですが、海外でかなりの大きさまで育てたシラスウナギを輸入して日本で養殖した場合でも、養殖期間が海外よりも国内の方が長ければ、これも「国産」と認定されるというのです。

さらに言えば、輸入ウナギが何ヵ月間海外で養殖されたかは、業者が申告するのみで、実際に調べる方法はありません。
つまり、海外で1年かけて大きくしたウナギを「4ヵ月」と偽って輸入して、日本で5ヵ月間養殖し、それを「国産ウナギ」として売っても、調べる術がないということです。
国産ウナギには、我々には見えない死角があります。食品への信頼という点からも、気になるポイントです。

35℃を超える猛暑が続くこの夏、うなぎを食べてスタミナを補給し、夏バテ防止に努めたい。