スピード違反・信号無視…運転が怖い国、韓国
国務省のホームページは海外を旅行する自国民の安全のために国家別交通、治安など各種情報を案内している。その中で韓国は道路や信号など道路インフラはとてもよく整えられているが、交通事故率が非常に高いので事故に気を付けるように呼びかけている。スピード違反・信号無視に方向指示器さえつけていない車両が多く、横断歩道でも運転者は歩行者を守らないため、歩行時はなるべく地下道や報道橋を利用するようにアドバイスまで出ている。
実際に、韓国は交通事故王国だ。過去一年だけで交通事故による死亡者は4292人で、ケガ人は約33万人に達した。毎日約1000人が交通事故であっけなく死んだりケガしたりしている。経済協力開発機構(OECD)に加盟してから20年が過ぎたが、交通事故による死亡率は依然として最下位の水準だ。韓国の交通文化が過去20年間、世界下位圏にとどまっている間、多く国では全力をつくして交通事故による死亡者数を減らしてきた。
1990年代までは自動車1万台当たり交通事故による死亡者数17~25位を推移していたスペインは2013年、5位に大きく改善された。交通安全に対する政治・社会的関心により政府と関連機関との間で協力システムを構築し「すべての国民は安全な移動システムを有する権利がある」というビジョンを持って強力な交通安全政策(Road safety strategy)を執行したわけだ。フランスも都心部における制限速度を時速50キロ以下に下方調整し、飲酒運転の取り締まりやスピード違反に対する処罰を強化して交通事故による死亡者数を大きく減らした。
これまで韓国では世界の流れに逆行するような政策が推進されてきた。飲酒運転者をはじめとする交通法の違反者が毎年赦免されてきた。法規違反者に対する罰金にただ1万ウォン(約989円)をもっと払えば罰点を免除する免罪符を与える政策も施行された。韓国は保険に加入さえすれば深刻な程度の違反項目に当たる場合を除き、被害者数十人が発生する事故を起こしても処罰を受けない交通事故処理特例法がある世界唯一の国だ。このように粗末な法制度と軽い処罰は、法違反を軽視する社会的雰囲気を作っている。これに対し、交通事故を単に運転者のミスや運がなかったと見なしてしまう安全不感症まで加わり、韓国を全世界で交通安全が最も不安でかつ危険な国の一つとして作っているわけだ。
国民の日常と最も密接な道路交通の安全を確保するのは国家の最も重要なことの一つだ。国民個人の幸福や安全のためだけでなく、国家の持続可能な発展のためにも現在のような交通文化と後進的交通政策は早急に改善される必要がある。交通法違反や他人の生命を軽視する運転者は必ずそれに見合う処罰を受けるように法・制度やシステムを持続的に改善していくなど、システムを十分に確かめて変える努力が必要だ。特に、都心圏や生活道路での減速、交通罰金の合理的な改善、飲酒運転に対する処罰強化、高齢者・子供・歩行者を優先する交通安全対策などは早急に推進すべきだ。法規を守れば安全が保障されるという予測が確信に変わる瞬間、韓国の道路は安全になるだろう。