世界の港が「韓国船」受け入れ拒否 韓進ショック140億ドル訴訟も “海の上の難民”状態
韓国の海運最大手、韓進(ハンジン)海運が日本の会社更生法にあたる法定管理を申請したことを受け、同社のコンテナ船が世界各国の港で受け入れを拒否されるなど混乱が生じている。
韓国メーカーの北米向け輸出への影響も懸念されるなか、朴槿恵(パク・クネ)政権の準備不足も指弾された。「韓進ショック」は東京都にも及んでいる。
韓国メディアによると、韓進が保有するコンテナ船やバルク船は計141隻あるが、5日時点でこのうち79隻が23カ国44港で入国を拒否されるなど運航に支障が出た。
貨物の積み卸しを委託された業者が代金が支払われないことを恐れて作業を拒否するなどの事態が起きているという。
韓国から北米向けの輸出にも影を落とす。サムスン電子は40%超、LG電子は20%超の海上物流を韓進で扱っているとされる。韓国政府は8日から一部の代替船を準備するが、感謝祭やブラックフライデーなどクリスマス商戦に向けた最も大事な時期だけに、貨物の到着遅れは深刻だ。
ハンギョレ新聞は、納期が遅れている貨物に関して最大140億ドル(約1兆4560億円)規模の訴訟に巻き込まれる懸念があると報じた。
5日に母港の釜山港に入港した船も貨物を降ろしただけで、船舶の差し押さえを避ける狙いもあって再び港を離れ、公海上で待機していると聯合ニュースは報じた。
飲料水や食料も残り少なく、排泄(はいせつ)物をためる施設の容量も限界に達しつつあるなど乗組員は劣悪な環境で「海の上の難民」のような状態だという。
ハンギョレ新聞は、「韓進を存続させるかどうかに焦点が合わされ、法定管理の余波に関する政府のきめ細かい対策は不十分だった」と朴政権の対応を批判した。
日本にも余波は及ぶ。韓進の日本支店は2日、「当面の間、日本の各港への入港の見込みが立っていない」と説明した。
また、東京都が約50%の株式を保有する東京港埠頭(ふとう)によると、韓進は青海コンテナ埠頭のA3ターミナルを1994年以来、借り受けている。
また、中央防波堤外側外貿コンテナ埠頭のY2ターミナルについても昨年8月に本契約の前段階にあたる賃貸借予約契約を韓進と結び、2017年に供用開始予定となっている。東京港埠頭は「動向を見極めたい」(総務課)としている。
韓国では、韓進が今後、再建ではなく清算に向かう可能性が高いとの観測もある。仮に清算となれば、東京港の一連の契約について見直される可能性もありそうだ。