内戦下のイエメン、最大8万5000人の子どもが餓死・病死
子どもの支援を専門とする国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」は21日、内戦が続くイエメンで2015年以降、8万5000人もの5歳未満の子どもが、飢餓や病気で死亡した可能性があると明らかにした。
この推計は国連(UN)が収集したデータを基にしたもの。イエメンではサウジアラビア主導の連合軍が支援する暫定政権と、イランが支援するイスラム教シーア派(Shiite)系の反政府武装組織フーシ派(Huthi)が戦闘を続けており、国連は最大1400万人が飢餓に陥る恐れがあると警鐘を鳴らしている。
セーブ・ザ・チルドレンのイエメン統括責任者は「爆弾や銃弾で命を落とした子ども1人に対し、数十人の割合で餓死している。(餓死は)完全に防ぐことができるのにだ」と述べ、「こうした死に方をする子どもたちは、生命維持に不可欠な臓器の機能が衰え、最終的に停止するまでひどく苦しむ」と語った。
さらに「子どもたちの免疫システムは非常に弱いため、いっそう感染しやすく、中には虚弱すぎて泣くことすらできない子もいる。親たちは痩せ細っていく子どもを目の当たりにしなければならず、それでも何もしてやることができない」と述べた。
イエメンのホデイダ(Hodeida)港には、同国への輸入食料と支援物資の約80%が入ってくるが、港は昨年から暫定政権に封鎖されている。
セーブ・ザ・チルドレンによると、イエメン北部への供給も南部アデン(Aden)の港を使わなければならず、支援物資の配送は著しく遅れているという。
国連(UN)の世界食糧計画(WFP)は16日、内戦で荒廃したイエメンの治安と経済状況が改善されなければ、同国民1200万人が近く飢饉(ききん)に見舞われる恐れがあると警告した。
WFPの報道官はスイス・ジュネーブで記者団に対し「イエメンは現在、世界最悪の飢餓の危機に直面している。国内全土で1800万人近くが、次の食事のめども立っていない」と語った。すでに800万人以上が飢餓寸前の状態にあり、食料価格がここ1年間で3割以上上昇していることも状況悪化に拍車をかけているという。
さらに「この状況が続けば、深刻な食料不足に見舞われるイエメン人はさらに350万人増加し、合計1200万人近くに達する可能性がある。これらの人々が飢饉に近い状態に陥らないためには、定期的な食料援助が緊急に必要だ」と説明した。
また報道官はAFPに対し、WFPはイエメン支援のための追加資金を必要としていると説明。「(援助を必要とする)人が多ければ多いほど、より多額の資金が必要となる」と述べた