北朝鮮、脅威は不変=中国軍の動向懸念―防衛白書

北朝鮮、脅威は不変=中国軍の動向懸念―防衛白書

小野寺五典防衛相は28日午前の閣議で、2018年版防衛白書を報告した。

北朝鮮に関し、昨年秋の挑発行為を踏まえ、「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」と表明。6月の米朝首脳会談の成果を評価しつつ、「会談後も北朝鮮の核・ミサイルの脅威についての基本的な認識に変化はない」と明記した。軍事活動を活発化させる中国の動向にも懸念を示した。

白書は北朝鮮について、日本のほぼ全域を射程に収めるミサイルを数百発保有・実戦配備していると指摘。昨年9月に強行した6回目の核実験や、その後の日本周辺への弾道ミサイル発射を受け、前年より強い危機意識を打ち出した。

米朝会談については「金正恩(朝鮮労働党)委員長が朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を改めて文書の形で明確に約束した」と評価。その上で「核・ミサイル廃棄に向けて具体的にどのような行動を取るのかしっかり見極めていく」と今後の推移を注視する方針を強調した。

中国に関しては、「海軍艦艇や航空戦力が尖閣諸島周辺を含め、その活動範囲を一層拡大させている」と強く懸念。一方、自衛隊と中国軍の偶発的な衝突回避を目的とした「海空連絡メカニズム」の運用開始に関しては、「日中両国の相互理解を増進する上で重要な一歩だ」と意義を強調した。

ロシアが北方領土に地対艦ミサイルを配備するなど軍事拠点化を進めていることについては「事実上の占拠のもとで活動を活発化させている」と指摘。批判的な記述はなく、「引き続きロシア軍の動向を注視していく」と記すにとどめた。

政府が年末に改定する防衛大綱に関し、「サイバー空間や宇宙空間など新たな領域の活用が死活的に重要になっている」として、これらの領域での対処能力向上に取り組む必要性を強調。イラク日報問題については再発防止策を示しつつ、「国民の信頼回復に全力を注いでいく」とした。