北朝鮮が初めて「文在寅大統領」と呼称 今後の動きに注目
北朝鮮の対韓国窓口機関・祖国平和統一委員会の李善権(リ・ソングォン)委員長は3日午後、朝鮮中央テレビで金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の立場として、「平昌五輪への代表団派遣問題を含め、(五輪)開催に関連した問題で南側と連携するよう、(金委員長が)板門店の連絡ルートを開通することを指示した」と伝えた。
発表は李氏が行ったものの、金委員長に委任されたことを明示し、金委員長の立場を代読する形式だった。特に李氏が発表の中で「文在寅(ムン・ジェイン)大統領」という呼称を用いたことに注目が集まっている。
北朝鮮が公式発表や談話などで文大統領の名前と大統領という肩書を共に用いたのは今回が初めて。これまでは「南朝鮮執権者」などと呼称していた。小さいことから韓国側と信頼を重ねていこうとする北朝鮮の意思が読み取れる。
また北朝鮮の最高かつ唯一の指導者である金委員長が直接関与していることから、一部では今後、平昌冬季五輪と関連して異例の措置が相次いで出される可能性があるとみている。
北朝鮮の憲法上の国家元首である金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長や北朝鮮の現在のナンバー2とされる崔竜海(チェ・リョンヘ)党副委員長が派遣される可能性もある。
また金委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)党宣伝扇動部副部長(党中央委員)を派遣することで、金委員長が自身の代理を務めさせるとの見方も出ている。
北朝鮮が応援団や芸術団を派遣する可能性もある。韓国でもよく知られる北朝鮮の女性グループ・モランボン(牡丹峰)楽団などが派遣されれば、平昌五輪の話題集めにも一役買うことが予想されるが、金委員長が決定すれば実現するとみられる。
さらに、韓国は今大会が平和の五輪になることに期待を示しており、五輪期間中にある旧正月(今年は2月16日)に合わせ、朝鮮戦争などで生き別れになった南北の離散家族の再会行事が実施される可能性があるとの見方も出ている。