千葉市  外国人労働者数全国7位 

千葉市   外国人労働者数全国7位 多文化共生へ目配り必要

 

来年の4月をめどに、外国人労働者受け入れ拡大のための新たな在留資格の創設に向けた準備が進められている。これまで日本では、専門的技術的分野での受け入れを原則としてきたが、人手不足を背景に、業種を限定しつつも単純労働者にも門戸を開き、一定の技能や日本語能力をもとに在留資格を付与する方針だ。

平成29年10月現在、県内の外国人労働者数は約5万人で、国内では7番目に多く、アベノミクス前の24年からの増加ペースは、2・3倍と全国(1・9倍)を上回る(この間の増加率は全国5位)。単純比較はできないが、労働力調査などから推計すると、この間の全労働者の増加数の約半分に達する勢いにある。

増加が全国を上回る背景には、労働力の需要面では、本県で豊富な官民プロジェクトから建設需要が拡大していること、景気拡大に伴い物流・輸送事業が活発化していること、国際空港を擁し外国人客が増加していること、などがある。実際に業種別にみると、千葉県では「建設業」「運輸業、郵便業」「宿泊業・飲食サービス業」の伸びが全国よりも高い。

一方、労働力の供給面では、県内に日本語教育機関・施設が多い(全国7位)ほか、都内への通学圏として家賃などが割安であることから、千葉県に住む留学生が増えていることが挙げられる。在留資格別に外国人労働者数をみると、県内では在留留学生数が24年の2596人から29年には1万3786人と5・3倍に増加しており、同じ期間の増加率が2・8倍だった全国を大きく上回っている。ちなみに留学生は週28時間までの就労が可能だ。

人口増加が続く本県では、他県に比べ、労働力の確保における優位性は高いが、人手不足業種では、サービス水準を維持するためには、外国人労働力に依存せざるを得なくなっている。全国の外国人労働者に占める千葉県のシェアは、現在3・9%と人口シェア(4・9%)よりも低いが、今後、生産年齢人口が減少し高齢者が増加する中で、国内景気の緩やかな拡大とともに、労働力の需給両面の要因から、人口シェアに徐々に近づきつつ、外国人への依存度が一段と強まることが予想される。

検討されている新たな在留資格対象業種は、人手不足感が強い建設業のほか、宿泊、介護などが想定されており、新資格の創設が本県経済の持続的成長に及ぼす影響力は小さくない。

外国人人材の受入れ拡大にあたっては、多言語対応をはじめ、日本語教育の充実、企業の雇用管理改善など官民の受け入れ環境の整備が不可欠となる。

県内では、外国人市民が最も多い千葉市が、29年12月に策定した「多文化共生のまちづくり推進指針」に基づいて通訳ボランティアの普及促進などを進めている。現在、本県では、東京五輪・パラリンピック開催に向けた重点課題として、訪日外国人の「おもてなし」向上に取り組んでいるが、全国を上回るペースで外国人労働者が増加する中、今後は、共存にも目を向けた多文化共生の地域づくりがより意識されることとなるだろう。