国連移民協定、拒否相次ぐ=米に同調、欧州や豪も

国連移民協定、拒否相次ぐ=米に同調、欧州や豪も

 

国際的に協調して移民に対応する初の枠組み「国連移民協定(安全で秩序ある正規移住のグローバル・コンパクト)」について、移民受け入れ国である欧州各国やオーストラリアで、先に不参加を表明した米国に同調する動きが相次いでいる。

移民への警戒感の強まりが反映された形で、採択を来月に控え、実効性を確保できるか懸念が深まっている。

世界の移民数は年々増大してきた。昨年時点で2億5800万人に上る。

各国単独での対応が困難となる中、国連は2年前から、協定策定に向けた交渉を続けてきた。米国は「市民に責任を持たない国際組織が決めることではない」(トランプ大統領)と昨年、不参加を決めた。

それでも、今年7月には米国を除く加盟192カ国で、国境管理での国際協調や、移民の労働環境の保護などを盛り込んだ原案を決定した。来月のモロッコでの会合で採択される予定だ。

協定に法的拘束力はない。しかし、過去1カ月ほどで、米国に同調する動きが拡大している。

欧州では欧州連合(EU)議長国オーストリアや東欧諸国が拒否。ドイツでも、メルケル首相の後任を選ぶ与党党首選の大きなテーマとなっている。オーストラリア、イスラエルも拒否する方針だ。日本は対応を検討中だが、国際協調自体は「歓迎すべきだ」(外交筋)と考えている。

拒否した各国は「自国の主権が最優先だ」(オーストリアのシュトラッヘ副首相)と強調。移民受け入れ問題で自国の裁量が狭まることへの警戒感が強い。このまま不参加国が増えれば、協定は骨抜きになる恐れもある。

◇移民協定の主な拒否国 米国、豪州、イスラエル、オーストリア、ポーランド、ハンガリー、チェコ、ブルガリア、エストニア。