外国人増で治安に不安?増える苦情 犯罪率比例せず…体感と実態にずれ

外国人増で治安に不安?増える苦情 犯罪率比例せず…体感と実態にずれ

 

政府が外国人労働者の受け入れ拡大を急ぐ中、治安の悪化を心配する声が一部で上がっている。九州でも元技能実習生による犯罪が起きているが、実際には、近年増え続ける在留外国人数と、刑法犯摘発数に占める外国人の摘発数の傾向は比例していない。体感治安と実態にずれが生じる背景には、文化や生活習慣の違いによる誤解もあるとみられ、共生に向けた模索が始まっている。

外国人住民が10年前から倍増し、約5千人が暮らす福岡市南区。ごみ出しや騒音に関する苦情が最近、警察に連日寄せられるようになった。住民の間では「街にたむろし、夜道を歩くのが怖い」「大事件を起こさないか心配」と、漠然とした不安を抱く声もある。
「過酷な職場から逃げて犯罪に走るケースが多い」
ベトナム人の元技能実習生らによる窃盗事件の摘発も相次いでいる。福岡県内に住む30代のベトナム人女性は「ベトナムの送り出し団体に『楽に稼げる』とだまされて来日し、過酷な職場から逃げて犯罪に走るケースが多い」と話す。

入管難民法改正案が今国会で成立すれば、地域に暮らす外国人はさらに増える。では現時点で、外国人犯罪は急増しているのか。
警察庁などによると、在留外国人は右肩上がりに増え、昨年は過去最高の256万1848人(前年比17万9026人増)。一方、刑法犯摘発数に占める外国人犯罪の割合は2005年の5・1%をピークに、近年は3%前後で増減を繰り返している。昨年の外国人摘発数も、05年の3割程度に当たる1万1012件。福岡県では昨年の摘発率が3・8%(同0・6ポイント増)、摘発数が632件(同49件増)と増えたが、「ベトナム人による集団万引の摘発が数字を一気に押し上げた」(同県警)という。

「住民とのトラブルも、外国人に悪気はなく、言葉が通じなかったり、生活習慣が違ったりして誤解が生じているケースが大半」。技能実習制度の監理団体として外国人約千人を受け入れている「福岡情報ビジネス」(福岡市)の藤村勲代表理事は言う。

実習生の寮で周辺住民とトラブルになった場合、担当社員が通訳を帯同して訪ね、生活マナーを教えている。「きちんと説明すれば、彼らも地域に溶け込もうと努力してくれる」
日本人を対象に勉強会を開く地域も
外国人と向き合う日本人を対象に、勉強会を開く地域もある。

福岡市東区の香椎浜公民館は、昨年から日本人の住民への講座を始めた。外国人にも伝わりやすい日本語を学んだり、外国人の日常生活の困り事について考えたりしている。同公民館の宮嵜祐子主事は「最近は、ごみ出しのルールなど生活マナーを多言語で表示する自治会も出てきた。まずは顔見知りになり、理解し合うことが大事」と言う。
福岡県警も技能実習生を雇用している企業に警察官を派遣し、日本の法律を教えている。昨年新設された国際捜査課の西嶋満裕次席は「住民が安心して暮らせるよう、摘発と啓発の両輪で治安を守る」と話している。