千葉市 学校のエアコン設置率のばらつきは国の責任か自治体の責任か
信じられないくらいの猛烈な暑さが続いている。7月23日には埼玉県熊谷市で、観測史上最高の41.1度を記録した。23日に全国で最高気温が40度を超えたのは、ほかにも、東京都青梅市(40.8度)、岐阜県多治見市(40.7度)、山梨県甲府市(40.3度)がある。東京都内では観測史上初めての40度超えとなった。
“酷暑対策”でやるべきことは何か。都道府県で学校のエアコン設置にばらつきがあること1つをとっても、考え方次第でやれることはあるはずだ。
● 東京の7月の平均気温は この100年で1.7度上昇
最高気温25度以上の日を夏日、最高気温30度以上の日を真夏日、最高気温35度以上の日を猛暑日というが、23日のように最高気温40度以上の日はなんと言ったらいいのだろうか。正式の名称はないようだが、酷暑日とでもいうのだろうか。
気象庁のデータで東京の7月平均気温の推移を1875年から見ると、冷夏や暑夏がある。年ごとの変動は大きいが、傾向的に見ると、年々0.017度ずつ上昇していることがわかる。これは100年で1.7度上昇というペースだ。
気温の上昇が続くにもかかわらず、文科省の学校設置の規則を調べてみると、校舎を南向きに建てろとか、かなり笑えるものがあった。沖縄などで南向きに建てたら、夏は暑くて大変だろう。
その文科省で、3年ごとに小中学校などでの冷房設備の設置状況を調べている。
このエアコンの設置率に注目してみると、40度にも達した岐阜県多治見市では、なんと0%という報告もある。
問題は深刻だ。エアコン設置は、国の財務省や文科省の問題なのか、あるいは地方の自治体の問題なのだろうか。
● 学校のエアコンの設置率 都道府県で大きなばらつき
文科省のデータによれば、通常の授業を行う普通教室と専科授業を行う特別教室を合わせたエアコンの設置率は1998年にはわずか6.6%だった。その後、冷房設備は普及し、直近の2017年では41.7%になっている。
ちなみに50年前、筆者が通っていた中学は公立だったが、当時から冷房(空調)設備があった。校舎が幹線道路に面しており、騒音対策で二重窓だったので、冷房設備が必須だったのだ。その頃は、学校に冷房設備があるのは普通だと思っていたが、後で極めて珍しい例だったことがわかった。
文科省データでは、都道府県別で見ると、2017年4月の小中学校のエアコン設置率にかなりのばらつきがあることがわかる。
第1位は香川県92.3%、第2位は東京都84.5%、第3位は滋賀県77.9%、第4位は沖縄県74.3%、第5位は京都府68.8となっている。暑い西日本地方でも、奈良県、愛媛県、山口県、長崎県は10%台であり、地方ごとに対応には大きな差がある。
エアコン設置率だけでは面白くないので、2017年7月の平均気温と合わせたグラフを見てみよう。
同じ四国の中でも、香川県は92.3%であるが、隣県の愛媛県は13.2%と大きな差がある。
各都道府県のエアコン設置率と7月の平均気温には相関があってもいいと思うが、北海道と東北6県を除くと、エアコン設置率と気温の相関係数は0.06であり、両者の相関はないといっていい。
● 普及率の高低は 自治体の「やる気」の差
となると、エアコン設置率に差が出るのは、基本的には、地方自治体のやる気(予算の優先順位付け)の問題だろう。
それは、現場の首長の意見からもうかがえる。例えば、吉村洋文・大阪市長はツイッターで、
<大阪市では、橋下僕の時代で、市内全小中430校の普通教室にクーラー設置した。要は予算付けの優先順位の問題。一票をもたない子供を優先できるか。だって、予算をつける市長や議員、職員はクーラーの効いた部屋で仕事してる。おかしいやん。四の五の言わずにやれっちゅうの。>
と書いている。
ただし、設置の遅れている自治体の首長は、国の補助率の低さを問題にしている。例えば、熊谷俊人・千葉市長は、
<エアコン整備に国補助は出ます。しかし、補助単価が実勢価格と大幅に乖離しており、実質的には1/6しか補助が出ていない状況です。他の学校施設1/3と比べて不当であり、何年にわたって千葉市は国に改善を要望しています。文科省も予算が確保できないので、文科省だけが悪いわけではありません。>
という。また、大村秀章・愛知県知事は、
<各市町村が小中学校の設備整備をする際に国に申請する「学校施設環境改善交付金」について、今年度に空調設備の申請をした県内67校は1校も認められなかった、(国には)予算確保も含めて考えてもらった方がいい」>
としている。
こうした意見から判断すると、国の緊縮財政があり、文科省の補助予算が割を食い、その結果、地方自治体で予算の優先順位付けを高くしたところだけが、エアコン設置率が高くなったのだろう。
家庭でのエアコン普及率は9割以上だ。学校生活でも同じ環境が必要である。現在の「酷暑」は生徒の命に関わりかねないことだ。地方自治体の予算では限界があるというなら、国の出番だろう。国の財政状態は問題はないからだ。
電力不足対策は 原発の再稼働で
酷暑対策といえば、素人ながらの素朴な疑問がある。
例えば夏の全国高校野球大会だが、以前から、どうして炎天下でするのか不思議だった。これまでのしがらみから、阪神甲子園球場で行われているのだろうが、空調設備のあるドーム球場のほうがどう考えても健康的である。いつか大きな熱中症事故が起こりはしないかと老婆心ながら心配だ。
またエアコンに関連して懸念されるのは、夏の電力不足だ。
今のところ電力不足にはなっていないが、学校のエアコン設置が増えれば、電力不足が起こらないとは言えない。
ただし、今や再稼働していない原発が多く、これらを活用すれば酷暑対策も安心だろう。
もちろん、原子力規制委員会の安全基準をクリアするのは当然だ。安全基準をクリアしても再稼働を許さないというのは科学的な態度ではなく、一部の過激な活動家の主張である。
筆者は、原発は、他の電源とのコストや電気料金での競争、いわば市場原理でいずれはなくなっていくはずなので、その流れに任せておけばいいという立場だ。
この原理は、一部の過激な活動家から見れば生ぬるいだろうが、いずれこのことは電力会社も認めざるを得ないだろう。
ただし今、動かせるものは動かすのが自然だし、安全基準をクリアすれば再稼働すればいい。これは多くの人が納得できる実行可能なものだ。
しかも、再稼働といっても、長期的な原発のフェードアウトにはまったく支障にならない。
本日、千葉市美浜区真砂自宅より依頼を受け、お伺い、車椅子にて
千葉市中央区椿森国立医療センターに通院治療をされ戻りました。